暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
二学期〜素敵なプレゼント☆ A
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つかない。

「愛美、そろそろ。ね」

 さやかは「夕方までには家に着くはず」と実家の母親に連絡を入れてあるのだ。長々とお喋りをしていたら、着くのが遅くなってしまう。

「……あ、そうだった。じゃあ珠莉ちゃん、よいお年を。また三学期にね」

「よいお年をー」

「ええ、よいお年を。来年もよろしくお願い致しますわ」

 愛美とさやかの二人は、そこで珠莉と別れて新横浜の駅に向かった。

「――ねえ、お昼ゴハンはどうする? 品川駅前にある美味しいお店、あたし知ってるけど」

 総武線の車両に揺られながら、二人は昼食の相談をしていた。

「えっ、そうなの? じゃあ、そこでお昼にしようかな。わたし、東京のお店は知らなくて」

「あれ? 夏休みに長野行った時、東京駅で乗り換えたんじゃなかったっけ?」

 さやかの言う通り、愛美が東京に立ち寄るのはこれで二度目なのだけれど。

「……うん、そうなんだけど」

 確かに、愛美は夏休みに長野へ行った際、東京経由で行ったのだけれど。

「あの時は、新幹線に乗り換えるために東京駅で降りただけだったから」

「えーっ!? そうなの? もったいない!」

 さやかが(きょう)(たん)の声を上げた。

「あたしなんか、中学時代までしょっちゅう東京で遊んでたよ。埼玉と東京、すぐ隣りだし」

 埼玉県からなら、最短電車一本で東京まで出られる。

「いいなぁ……」

「んじゃ、愛美は今日が本格的な東京デビューなんだね。これから行くお店、ホントに美味しいとこだから。ハンバーグで有名なんだ♪」

「わぁ、楽しみ☆」

 もちろん、美味しいハンバーグも楽しみだけれど、初めての東京にワクワクしていた愛美なのだった。


   * * * *


 ――予定通りに品川の駅前でお昼ゴハンを済ませ、愛美とさやかの二人が電車で浦和駅に着いたのは午後三時前。
 そこから五分ほど歩いたところに、牧村家はあった。

「――愛美、着いたよ。ここがあたしん家」

「うわぁ……! 大っきなお家だねー」

 牧村家は大通りから少し路地を入ったところにあり、愛美が思っていた以上に大きな家だった。
 豪邸≠ニまではいかないけれど、愛美がよく知っている中学時代の友達の家よりはずっと大きくて立派だ。

「わたし、もっと小ぢんまりしたお家かと思ってた。……ゴメンね、さやかちゃん」

「ううん、いいよ。ここら辺、東京より土地安いからさ。ウチは家族多いし、これくらいでちょうどいいんだ」

「そうなんだ? ……あれ?」

 愛美は牧村家の外観を眺めながら、首を傾げた。

(この家……、どこかで見たような。どこだっけ?)

「ん? どしたの?
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