暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
二学期〜素敵なプレゼント☆ A
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時計、大好きな作家の本をシリーズで大人買い。暖かそうなモコモコのルームソックス、新しいブーツ、洋服。そして……、テディベア。

「わぁー、ずいぶんいっぱい買い込んできたねえ。……っていうか、他のものは分かるけど、なんでテディベア?」

「実は、前から欲しかったの。施設にいた頃、毎年理事さんからのクリスマスプレゼントの中に可愛いテディベアがあったんだけど、わたしは遠慮して小さい子たちに譲ってあげてたんだ」

 自分はお姉さんだから……、と遠慮して、自分は欲しいものをもらわなかった。本当に、自分はさやかに言われた通りの甘え下手だと愛美も思ったのだった。

 そして、それだけの買い物をしても、まだまだ大きな金額が愛美の手元に残っていた。


   * * * *


 ――それから五日が過ぎ、あっという間に冬休み。

「愛美ー、そろそろ出よっか」

 時刻は午前十時。夏休み前とは違い、すっかり荷作りを終えた愛美の部屋に、さやかが呼びに来た。

「うん、そうだね。電車で行くんだよね?」

「そうだよ。品川(しながわ)駅から乗り換えるの。今日は新幹線には乗らないからね」

 新幹線なら、新横浜から一駅で品川に着くけれど。たった一駅を新幹線で行くのはもったいないので、今回は「(そう)()線で行こう」ということになったのだ。

「あたしの家、(うら)()駅からわりと近いから。そこからは歩きでも十分行けるんだよ」

「へえ、そうなんだ」

 二人がスーツケースと大きめのバッグを(たずさ)えて愛美の部屋を出ると、ちょうど東京の実家に帰ろうとしてる珠莉と合流した。

「ねえ、珠莉ちゃんはどうやって東京に帰るの? 電車で?」

 愛美は珠莉に訊ねる。もしも電車で帰るのなら、途中までは自分たちと一緒かな、と思ったのだけれど。

「いいえ。校門の前まで迎えの車が来ることになってるわ。お抱えの運転手がハンドルを握ってね」

「お抱えの運転手…………。アンタん家ってマジでスゴいわ」

 さやかが思わず漏らした感想に、愛美もコクコクと頷く。

(わたし、そんな車って施設の理事さんたちの車しか見たことない……)

 しかも、「あれに乗ってみたい」と憧れを込めた空想を膨らませて、だ。

「……ねえ、もしかして純也さんにもいるの? お抱えの運転手さん」

 彼だって一応、辺唐院一族の一人である。他の親族との折り合いは悪いと聞いたけれど、その辺りはどうなんだろう?

「いないと思いますわよ。純也叔父さまはご自分で運転なさいますから。乗用車だけじゃなくて、バイクも」

「そうなの? カッコいいなぁ」

 彼が車を運転する姿は想像がつくけれど、バイクに乗る姿までは想像が
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