暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
二学期〜素敵なプレゼント☆ A
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月送られてくるお小遣いの三万五千円だって、愛美には十分な大金なのに。十万円はケタが大きすぎる。

(こんな大金送ってくるなんて、おじさまは一体なに考えてるんだろ?)

「……ねえ、さやかちゃん。コレってどういうことだと思う?」

「さあ? あたしに訊かれても……。手紙に何か書いてあるんじゃないの?」

「あ……、そっか」

 愛美はそこで初めて手紙に目を通した。


****

『相川愛美様

 Merry(メリー) Christmas(クリスマス)
 この小切手は、田中太郎氏からのクリスマスプレゼントです。
 お好きなようにお使い下さい。        久留島栄吉  』

****


「えっ、コレだけ? クリスマスプレゼント……がお金って」

 愛美は小首を傾げ、うーんと唸った。ますます、あしながおじさん≠ニいう人のことが分からなくなった気がする。

(プレゼントは嬉しいけど、お金っていう発想は……どうなの?)

 彼の意図をはかりかねているのは、さやかと珠莉も同じようで。

「まあ、なんて現実的なプレゼントなんでしょ。一体どういう発想なのかしらね?」

「何を贈っていいか分かんないから、無難にお金にしたんじゃないの? ほら、女の子の援助するの、愛美が初めてらしいし」

「あー、なるほどね」
 
 さやかの推測に、愛美は納得した。
 娘がいる父親なら、愛美くらいの年頃の女の子が欲しがるものも大体分かるはず。ということは、彼には子供――少なくとも娘はいないということだろうか。

(もしいたとしても、まだ小さいんだろうな。まだ若い感じだったし)

「――んで? あたしの家に来ることについては、何か書いてないの?」

「ううん、何も書いてないよ。ってことは、おじさまも反対じゃないってことなのかな?」

 愛美はこの手紙の内容を、そう解釈した。
 それだけではない。反対していないどころか、自由に使えるお金までプレゼント≠ニいう名目で送ってくれたのだ。

「そうなんじゃない? よかったね、愛美」

「うん!」

 愛美は笑顔で頷いた。
 一番の心配ごとが解決し、愛美の新しい悩みが生まれる。

「――さてと。このお金で何を買おうかな……」

 使いきれないほどの大金の使い道に、愛美は少々困りながらもワクワクしていたのだった。


   * * * *


 ――あの十万円が贈られてきた日の午後、愛美は街に買い物に出かけた。
 
『それだけの金額あったら、欲しかったもの何でも買えるんじゃない?』

 というさやかの提案に乗り、自分へのクリスマスプレゼントをドッサリ買い込むことにしたのだ。

 ひざ掛けのブランケットに腕
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