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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
二学期〜素敵なプレゼント☆ A
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ま〜す!」」」

 ケーキを食べ始めると、そこはもう大変なことになっていた。
 愛美たちお兄さんお姉さんの三人はそうでもないけれど、小さい子たちの食べ方といったらもう。愛美は母性本能をくすぐられた。

「あーあー、クリームでお顔がベタベタだねえ。お姉さんが拭いてあげる」

 すぐ隣りに座っている小さな男の子の、クリームまみれになった顔を、愛美はテーブルの上のウェットティッシュでキレイに拭いてあげた。

「愛美、やっぱ手馴れてるね―」

「施設にいた頃、よく小さいコたちにやってあげてたからね。――はい、いいお顔になったよ」

「愛美ちゃん、いいお母さんになりそうだな」

「……いやいや、そんな」

 愛美は治樹の言葉を謙遜(けんそん)で返した。

「お兄ちゃん、まだ愛美のこと諦めてないの?」

「……うっさいわ。オレはただ、素直に褒めただけ。なっ、愛美ちゃん?」

「えっ、そうだったんですか?」

 愛美が素でキョトンとしたので、さやかが大笑い。

「愛美、さぁいこー! めちゃめちゃ天然じゃんー!」

「……えっ、なにが?」

 今まで「天然だ」と言われたことがなかったし、自分でもそう思ったこともなかったので、愛美にはいまいちピンとこない。

「いいのいいの。愛美はもうそのまんまで」

「…………?」

 愛美が首を傾げたので、さやかはまた大笑い。治樹もつられて笑い、兄妹二人で大爆笑になったのだった。


   * * * *


 ――新年を迎え、冬休みも終わりに近づいた頃、愛美は一通の手紙をあしながおじさん≠ノ書き送った。一枚の写真を添えて。


****

『拝啓、あしながおじさん。

 あけましておめでとうございます。少し遅くなりましたけど、今年もよろしくお願いします。
 今年の冬休みは、埼玉県さいたま市のさやかちゃんのお家で楽しく有意義に過ごしました。色々ありすぎて、何から書こうかな。
 まず、お家にビックリ。わかば園にいた頃、わたしが空想していたお家にそっくりだったんです。まさか自分があのお家の中に入れるなんて、夢にも思いませんでした! でも今、わたしはこのお家にいます。もうすぐ寮に帰らないといけないのが淋しいです。
 そして、ご家族もステキでいい人ばかりです。さやかちゃんのご両親にお祖母さん、早稲田大学三年生で東京で一人暮らし中のお兄さん(治樹さんっていいます)、しょっちゅう脱いだ靴をそろえ忘れる中学一年生の弟の翼君、五歳ですごく可愛い妹の美空ちゃん、そして三毛猫のココちゃん。
 ゴハンの時もすごく賑やかだし、みんな楽しい人たちで、すごくあったかい家庭です。わたしも将来結婚したら、こんな家庭を作りたいなって思います。
 さやかちゃんの
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