暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
二学期〜素敵なプレゼント☆ A
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か思わない?」

「あー、いいのいいの。もう慣れたし」

(慣れたんだ……)

 この兄と一緒に育ってきたら、きっとそうなるだろうと愛美も思った。

「あとね、お母さんが毎年クリスマスケーキ焼いてくれるんだ。それが超美味しいんだよねー」

「へえ、そうなんだ。それも楽しみだなあ」

 クリスマスは毎年ワクワクしていた愛美だけれど、今年は友達のお家で過ごす初めてのクリスマス。いつも以上にワクワクしていた。

(この楽しい時間は、あしながおじさんが下さった最高のプレゼントかも!)

 彼は十万円という大金と一緒に、友人と過ごす冬休みというこの有意義な時間もプレゼントしてくれたんだと愛美は思ったのだった。

「――愛美ちゃん。今日の晩ゴハンはハンバーグなんだけど、好き? あと、嫌いなものとか、アレルギーとかはない?」

 秀美さんが愛美に訊ねる。一家の主婦として、我が子の友人が家に連泊するとなれば色々と気を遣うんだろう。

「あ、はい。ハンバーグ、大好物です。好き嫌いもアレルギーもないです。何でも食べられますよ」

 施設で育ったので、好き嫌いなんて言っていられなかった。幸い、生まれつき食品アレルギーもないようだし。

「っていうか愛美とあたし、今日ハンバーグ二回目だね。お昼も食べてきたじゃん?」

「……あ。そうだった」

 お昼に品川で食べたハンバーグも美味しかった。でも、家庭のお母さんハンバーグはまた別である。

「あら、そうだったの? ゴメンなさいねえ、気が利かなくて。でもね、ウチのは煮込みハンバーグだから、また違うと思うわよ?」

「お母さんの煮込みハンバーグはソースが天下一品なんだよ。愛美も気に入ると思う」

「わあ、楽しみ☆ じゃあ、わたしもお手伝いします」

 お呼ばれした身とはいえ、上げ(ぜん)()え膳では申し訳ない。それに、実は料理が得意な愛美である。

「じゃ、あたしも手伝うよ」

「そうねえ。愛美ちゃんはともかく、さやかはこの家の子なんだから、手伝ってもらわなきゃね」

「……お母さーん、それ言う?」

 母と娘の何気ない会話だけれど、それだけでも愛美は微笑ましく感じるのだった。


   * * * *


 ――翌日の午後、治樹が言っていた通り、クリスマスパーティーが開催された。
 とはいっても、牧村家ではスペースが限られるので、自宅から徒歩数分のところにある〈作業服のマキムラ〉の工場にある梱包スペースを借り切って、である。

 この縦長の広いスペースをキレイに片付け、飾りつけし、クリスマスツリーを飾ったらクリスマスパーティーの会場の出来上がり。
「中学生以下のコ限定」とさやかが言っていたわりには、二十人近い子供たち
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