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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
ナツ恋。 @
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がおじさん。

 お元気ですか? わたしは今日も元気です。
 一学期の期末テスト、無事に終わりました。わたしは今回も学年で十位以内に入ることができましたよ。喜んでくれるといいな。
 もうすぐ楽しみな夏休み。しかも、高原の農園で過ごす一ヶ月間! すごくワクワクしてます。
 畑や田んぼは山梨の施設にいた頃、毎日のように見てきましたけど。実際に農場で生活するのは初めてです。すごく楽しそう!
 この夏はのびのび過ごして構わないんですよね? 誰に遠慮することなく?
おじさまだって、わざわざわたしの生活態度を千藤(せんどう)さんご夫妻に監督させたりしないでしょう? だって、わたしはもう高校生なんだから!
 では、おじさま。これから荷作りがあるので、これで失礼します。
 夏休み、思いっきり楽しんで、いろいろ学んできますね。 かしこ

           七月十七日   夏休み前でワクワクしている愛美』

****


 ――その後、無事に荷作りも完了し。それから四日後。

「じゃあねー、愛美! また二学期に! 夏休み、楽しんでおいでよ!」

 寮に居残る生徒以外はみんな、それぞれの行き先へと向かって校門を出ていく。
 さやかは学校の最寄り駅までは愛美と一緒だったけれど、駅からは行き先が違うのでそこで別れた。――ちなみに、珠莉は今ごろ、とっくに(なり)()空港に着いているだろう。実家所有の黒塗りリムジンが迎えに来ていたから。

「うん! ありがと! さやかちゃんもいい夏休み送ってね!」

「サンキュ! 夏の間にメールかメッセージ送るよ」

「うん、楽しみにしてる! じゃあ、バイバ~イ!」

 ――さやかは埼玉方面に向かうホームへ。愛美はここから地下鉄で新横浜まで出る。そこから東京まで出て、そして――。

(とう)(きょう)駅からは、北陸(ほくりく)新幹線か。おじさま、新幹線の切符まで送ってくれてる」

 新幹線に乗るまでの交通費はお小遣いで何とかなるけれど、新幹線の切符代はさすがに高い。高校生が自腹を切るのはかなり痛い。

(自分が行くように勧めたんだから、新幹線の切符くらいは自分で負担してあげようって思ったのかな? おじさまって(りち)()な人)

 愛美は切符を見つめながら、フフフッと笑った。

 ――「東京駅は乗り換えのためだけ」という、他の人が見ればもったいない経験をして、愛美は北陸新幹線の車両に乗り込んだ。
 切符は指定席で、眺めのいい窓際の座席。しかもリクライニング機能付きだ。

 新幹線に乗るのはこれが二度目だけれど、今回は始発からの長旅。駅ナカのお店で買ってきたジュースやサンドイッチで昼食を済ませながら、愛美は車窓からの景色を楽しんでいた。
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