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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
ナツ恋。 @
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が張る。本を買い
漁
(
あさ
)
った分の金額も合わせると、三万円以上があっという間に消えてしまったのだ。
「アンタ、買いすぎだよ。服とか買うなら、もっと安く買えるお店あるんだし。ファストブランドとかさ」
「へえ……、そうなの? じゃあ、次からそうしてみる」
――話し込んでいると、荷作りがちっとも進まない。
「ねえねえ愛美。荷物、一ヶ月分でしょ? スーツケース一個で入るの?」
「う〜ん、どうだろ? 一応、スポーツバッグもあるけど」
入学して三ヶ月でここまで増えてしまった洋服類と本を前に、愛美は
唸
(
うな
)
った。
もちろん、全部持っていくわけではないけれど。一ヶ月分となると、荷物も相当な量になるはずだ。本はお気に入りの分だけ持っていくとして、服はどれだけ詰めたらいいのか愛美には目安が分からない。
「じゃあさ、スーツケースとスポーツバッグに入らない分は箱に入れよう。あたしと珠莉とでいらない段ボール箱もらってくるから。――珠莉、晴美さんのとこ行くよ」
「ええ!? どうして私まで――」
「あたし一人じゃムリに決まってんでしょ!? アンタもちょっとは手伝いなよ!」
手伝わされることが不満そうな珠莉を、さやかがピシャリと
一喝
(
いっかつ
)
した。
「…………分かりましたわよ。手伝えばいいんでしょう、手伝えばっ」
プライドの高いお嬢さまも、さやかにかかれば形無しである。渋々だけれど、彼女についていった。
――数分後。さやかが二つ、珠莉が一つ段ボール箱を抱えて愛美の部屋に戻ってきた。
「愛美、お待たせ! これだけあったら足りるでしょ」
「まったく、感謝してほしいものですわ。この私に、こんな手伝いをさせたんですから」
(珠莉ちゃんってば! 手伝い≠チたって、段ボール箱一コ運んできただけじゃん)
珠莉の態度は恩着せがましく、愛美もさすがにカチンとはきたけれど。ここは素直に感謝すべきだろうと大人の対応をして見せた。
「ありがと、二人とも。じゃあ、荷作り始めるね。あとはわたし一人でできるから」
二人も荷作りやら準備やらがあるだろうし、これ以上手伝わせるのは申し訳ない。……特に、珠莉にこれ以上文句を言われるのはたまらない。
「そっか、分かった。んじゃ、あたしたちはこれで」
さやかと珠莉が部屋を出ていくと、愛美は早速荷作りにかかるのかと思いきや。
(おじさまに、手紙書こうかな)
ふとそう考えた。とりあえず、期末テストが無事に終わったことと、夏休みの準備を始めたことを報告しようと思ったのだ。
いつもは勉強机の上で書くのだけれど、今日はピンク色の座卓の上にレターパッドを広げ、ペンを取った。
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