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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
ナツ恋。 @
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(電話? 誰からだろう?)
愛美は首を傾げた。あしながおじさん≠ゥらこのスマホを持たされてもう二ヶ月になるけれど、電話をかけてくるような相手に心当たりがない。
大急ぎで自分の部屋に戻り、おそるおそるディスプレイを確かめると――。
(コレ……、山梨の番号だ。もしかして……)
そこに表示されているのは、
〇
(
ゼロ
)
五
(
ゴ
)
で始まる電話番号。山梨の番号で、愛美に思い当たるのは一件しかない。
「……もしもし? 相川ですけど」
『愛美ちゃん? 私、〈わかば園〉の聡美です。分かる?』
通話ボタンをタップして応答すると、聞こえてきたのは懐かしい、穏やかな年配女性の声。
「園長先生!? お久しぶりです! でも、どうしてこの番号ご存じなんですか?」
『田中さんがね、あなたにスマホをプレゼントしたっておっしゃってたから、一度かけてみようかしらと思ってね。……あら、あしながおじさん≠セったかしら?』
フフフッ、と茶目っ気たっぷりに笑う園長に、愛美はバツが悪くなった。
「ゴメンなさい、園長先生! わたし、勝手にあの人にあだ名つけちゃったんです。まさか園長先生までご存じだったなんて……」
『あらあら、謝ることなんてないのよ。あの方ね、「面白いニックネームをつけてもらったんですよ」って嬉しそうにおっしゃってたんだから。「僕より愛美ちゃんの方がネーミングセンスいいですね」って』
「そうなんですか……」
怒られる、と身構えていた愛美は、逆に褒められて嬉しいやら照れ臭いやら。
(でもおじさま、怒ってないんだ。よかった)
思えば、彼女が一方的につけたニックネーム。返事がもらえないから、相手の反応すら分からなかった。怒らせていたらどうしようかと、内心ヒヤヒヤしていたのだけれど。
『どう? 学校は楽しい?』
「はい。すごく楽しいです。お友達もできましたし、寮生活も初めての経験が多くてワクワクしっぱなしで。――みんなは元気ですか?」
まだ〈わかば園〉を巣立って二ヶ月ほどしか経っていないのに、愛美は兄弟同然に育ってきた他の子供たちのその後が気になっていた。
『ええ、みんな元気にしてますよ。あなたがいなくなって、最初のころは
淋
(
さみ
)
しがる子もいたけど、今はもう落ち着いてきてるわ。涼介くんがすっかりお兄ちゃんになって』
「そうですか。よかった」
あの施設を出る日、愛美は涼介に後を託したのだ。しっかり自分の務めを引き継いでくれているようで、ホッとした。
『――ところで愛美ちゃん。もうすぐ夏休みでしょう? 予定はもう決まってるの?』
「……あ、いえ。まだなんです。そろそろ田中さんに相談した方がいいかな、って思ってるんですけど」
家族がい
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