暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
恋の予感……
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珠莉に痛いところを突かれ、言い訳する言葉も思いつかない愛美はしどろもどろに答える。
「あー……、えっと。なんか急に帰らないといけなくなったっておっしゃって、ついさっき帰っちゃった……よ」
「はあっ!? 『帰られた』ってどういうことですの!? 私、言いましたわよね。補習が終わる頃に知らせてほしい、って」
(ああ……、ヤバい! めちゃくちゃ怒ってる!)
怒られる、と覚悟はしていた愛美だったけれど、予想以上の珠莉の
剣幕
(
けんまく
)
にはさすがにたじろいだ。
「純也叔父さまはあの通りのイケメンですし、気前もいいしで女性からの人気スゴいんですのよ! あなた、叔父さまを横取りしましたわね!?」
「別にそんなワケじゃ……。珠莉ちゃんには連絡しようとしたの。でも、純也さんに止められて」
「純也
さ
(
・
)
ん
(
・
)
!?」
「まあまあ、珠莉。もしかしてアンタ、叔父さまにお小遣いねだろうと思ってたんじゃないの? だからそんなに怒ってるんだ?」
さやかは、珠莉が怒っている原因を「彼女自身が
疚
(
やま
)
しいからだ」と見破った。
「そ……っ、そんなんじゃありませんわ! さやかさん、何をおっしゃってるんだか、まったく」
(こりゃ図星だな)
さやかの読みは多分当たっているだろうと愛美も思った。
「言っとくけど、純也さんとは学校の敷地内歩きながらおしゃべりして、カフェでお茶しただけだから。――おごってもらっちゃったけど」
「なんですって!?」
「はい、どうどう。――それより愛美、アンタ顔赤いよ? どしたの?」
さやかはまだ怒り狂っている珠莉をなだめつつ、愛美の変化にも気がついた。
「えっ? ……ううん、別に何もないよ?」
慌ててごまかしてみても、愛美の心のザワつきはまだおさまらなかった。
(ホントにもう! わたし、どうなっちゃったの――?)
* * * *
――それから数日間、愛美は純也のことばかり考えていた。
夜眠ろうとすれば夢の中にまで登場し、土日は寝不足で
欠伸
(
あくび
)
ばかり。三日経った今日は一限目から上の空で授業なんて耳に入らない。
「愛美、なんかここ数日様子がヘンだよ。ホントにどうしちゃったの?」
普段は大らかなさやかも、さすがに心配らしい。けれど、愛美自身にはその原因が何なのか分かっていないため、答えようがない。
六限目までの授業を全て終え、寮に戻ってきた愛美・さやか・珠莉の三人はまず寮監室に立ち寄った。普通郵便は個人の郵便受けに届くけれど、書留や小包みなどは寮監の晴美さんが預かり、本人に手渡されることになっている。
そして今日は、愛美が待ちに待ったあしながおじさん≠ゥらの現金書留が届く日
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