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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
旅立ち、新生活スタート。
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「まあ、この先一年だけだから。学年が上がれば部屋替えもあるし」

「はあ……。ありがとうございます」

「私はここで寮母をしている、森口(もりぐち)(はる)()です。よろしく、相川さん」

「はい、よろしくお願いします」

「荷物はロビーに届いてるから。そこにいる用務員の先生に声をかけてね」

 森口さん言われた通りに〈双葉寮〉の玄関ロビーに行ってみると、そこには他の新入生の女の子たちがみんな集まっている。

「あの、新入生の相川愛美ですけど。わたしの荷物、届いてますか?」

 その中に一人混じっている用務員さんとおぼしき中年男性に愛美は声をかけた。

「相川愛美さん……ですね。入学おめでとう。君の荷物は……と、あったあった! これに間違いないですか?」

 彼が持ち上げたのは、ピンク色の小さめのスーツケース。ちゃんと荷札が貼ってある。
 施設の部屋にはそんなにたくさんものが置けなかったため、愛美個人の荷物は少ない。だからこれ一つでこと足りたのだ。

「――あ、それからもう一つ、小包みが届いてますよ」

 彼はそう言って、箱を愛美に手渡した。
 けっこう大きな段ボール箱で、しっかりと梱包されている。

「えっ、小包み? ありがとうございます」

 愛美は小首を傾げながらも、お礼を言って受け取った。

「誰からだろう? ……ウソ」

 貼られている伝票を確かめて、目を丸くする。差出人の名前は、久留島栄吉=B――あの田中太郎℃≠フ秘書の名前だ。

(一体、何を送ってくれたんだろう……?)

「こわれもの注意」のステッカーが貼られているけれど、品物が何なのかまでは皆目(かいもく)見当がつかない。

「まあいいや。部屋に着いてからゆっくり開けようっと」

 箱をスーツケースに入れ(実は中がスカスカで、それくらいの余裕はあった)、部屋に向かおうとすると――。

「ちょっと! 私が相部屋になってるってどういうことですの!? 父から『一人部屋にしてほしい』と連絡があったはずでしょう!?」

 一人の女の子の(かな)()り声が聞こえてきて、愛美は思わず足を止めた。

 先ほどまで自分がいた方を見れば、声の主はスラリと背の高い、モデルみたいにキレイな女の子。彼女はあの男性職員に何やら食ってかかっている様子。

(へん)(とう)(いん)(じゅ)()さん。申し訳ありませんが、一人部屋はもう他の新入生が入ることになっていて。今更変更はできません」

「ええっ!? ウソでしょう!?」

(一人部屋……、ってわたしが使うことになった部屋だ……)
 
 二人の口論(こうろん)を耳にして、愛美は何だかいたたまれなくなった。
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