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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
序章
ゆううつな水曜日……
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を出すと、園長は大きく頷いた。

「ええ。あの方も、あなたの夢を応援したいそうよ。そのための援助は惜しまないっておっしゃってたわ。……ただね、あの方からは色々と条件を出されたんだけれど」

「条件……ですか?」

 進学できると浮き足立っていた愛美は、園長先生のその言葉を聞いて改めて背筋を伸ばした。

「まず、受験するように(すす)められた高校なんだけれど。横浜(よこはま)にある女子大付属高校なの。――ここよ」

 園長がそう言って、ローテーブルの上にパンフレットを置いた。それは、高校の入学案内。

「私立……茗倫(めいりん)女子大学付属……。横浜ってことは県外ですよね」

 愛美は表紙に書かれた文字を読んだ。
 本当は県内の高校がよかったのだけれど、そんなわがままを言っていい立場ではないことくらい、彼女自身も分かっている。

「そうなの。ここは名門の女子校でね、全寮制なの。寮に入れば、住むところには困らないだろうって。それでね、愛美ちゃん。学校や寮の費用は全額あの方が負担して下さって、直接学校に振り込まれるんだけれど。そのうえで、あなたにも毎月お小遣いを下さるそうなのよ。一ヶ月で三万五千円も」

「さ……っ、三万五千円!? すごい大金……」

 高校生のお小遣いにしては、多すぎはしないだろうかと愛美は目をみはった。

「そうよねえ。ここにいる間、あなたには十分(じゅうぶん)なお小遣いをあげられてなかったものねえ。でもね、あの学校でやっていくには、その金額が最低ラインなんじゃないかってあの方がおっしゃるのよ」

「そうなんですか」

 そういえば、名門≠セと園長先生がさっき言っていたっけ。お嬢さま学校でみんなと同じように生活していくには、やっぱりそれくらいのお金が必要なのだろうか。

「とりあえず、高校三年間は援助を続けて下さるそうよ。卒業後にそのまま大学へ進むか、就職するかはあなたに任せたいって」

「そうですか。……もし大学に進んでも、援助は続けて頂けるんでしょうか?」

 大学までとなると、学費もバカにならない。そこまで見ず知らずの人の厚意に甘えていいものかと、愛美は思ったけれど。

「ごめんなさい、そこまでは聞いてないわ。その時が来たら、またあなた自身から相談すればいいんじゃないかしら」

「そうですね……」

 まだそんな先のことまでは考えられない。まずは、進学できることになったことを喜ぶべきだろう。

「――それでね、あなたに出された条件は、毎月お手紙を出すことだそうよ。それもお金のお礼なんていいから、あなたの学校生活のことや、日常のことを知らせてほしいんですって」

(……あ、やっぱり同じだ。『あしながおじさん』のお話と)

 愛美はふとそう思
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