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トップシークレット☆ 〜お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる〜
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なことを教えてくれたよね。パパの余命を前向きに捉えることとか、悲しい時には思いっきり泣いていいんだってこと、緊張した時のおまじない、それから」
「えっ、そんなにありましたっけ?」
彼はここで驚いたけれど、わたしがいちばん伝えたい大事なことはこの先だ。
「うん。……それから、恋をした時の喜びとか苦しさも、わたしは貴方から教えてもらったの。だから、この先もずっと貴方に恋をし続けていくよ」
「はい。僕も同じ気持ちです。あなたに一生ついて行きます」
「だから、それって花嫁のセリフだってば」
わたしはまた笑った。
「――絢乃、桐島くん。式場のスタッフが呼んでるわよ。『そろそろフォトスタジオにお越し下さい』って」
控室のドアをノックする音がして、オシャレなパンツスーツを着こなした母が一人の中年男性を伴って入ってきた。
「はい、今行きます! ――絢乃さん、では僕は先に行っていますね。フォトスタジオでお待ちしています」
「うん、分かった。また後でね」
控室を後にする彼を振り返ったわたしは、母と一緒に立っている人物に目をみはった。
父に顔はよく似ているけれど、父より少し年上の優しそうな紳士――。
「やぁ、絢乃ちゃん。久しぶりだね。結婚おめでとう」
「聡一伯父さま……」
それは、アメリカから帰国した父方の伯父、井上聡一だった。伯父にも招待状を送っていて、出席の返事はもらっていたけれど、どうして母と一緒に控室を訊ねてきたのかは分からなかった。
「今日は、来てくれてありがとう。……でも、どうしてわざわざ控室まで?」
「加奈子さんに頼まれたんだ。源一の代わりに、絢乃ちゃんと一緒にバージンロードを歩いてほしい、って。私は父親じゃないが、君の親族であることに変わりはないからね」
「…………伯父さま、ありがとう……。パパもきっと喜んでくれてるよ……」
伯父の優しさが心に沁みて、わたしは感激のあまり泣き出してしまった。
「あらあら! 絢乃、泣かないで! せっかくキレイにメイクしてもらったのに崩れちゃうわ」
「うん、……そうだね。こんな顔で行ったら貢がビックリしちゃうよね」
慌てる母に、わたしは泣き笑いの顔で頷いた。
その後母に呼ばれたヘアメイク担当のスタッフさんにお化粧を直してもらい、わたしはウェディングプランナーの女性に先導され、母と伯父にエスコートされて、最愛の人が待つフォトスタジオへゆっくりと歩いて向かう。少し目が赤くなっていることに、貢は気づくだろうか? でも、これは幸せな日にふさわしい喜びの涙だ。
その途中、わたしは心の中で父に話しかけた。
――パパ、見てくれてますか? 貢はパパとの約束を守ってくれたよ。
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