暁 〜小説投稿サイト〜
トップシークレット☆ 〜お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる〜
第3部 秘密の格差恋愛
大切な人の守り方 B
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ハッカーなんだ。ホワイトハッカー」

「へぇ…………」

 ハッカーなんて、映画や小説の中だけの存在だと思っていた。まさか現実にいるなんて! でも、だからこそこの事務所は他でできないような調査ができるんだとわたしは納得した。

「――うん。やっぱ海外のサーバー使ってるね。正規の方法で辿れるのはここまでだけど……、あたしには裏技があるんだなぁこれが♪」

 彼女はニヤリと笑って、超高速タイピングで打ち込んだメールをどこかに送信した。その文面は英語、中国語、韓国語やインド語など何ヶ国語もあった。

「裏技……って?」

「真弥には、世界中にハッカーのお仲間がいるんだ。そのネットワークを駆使して、どこの国のサーバーが使われたのかを特定するってわけだよ。な、真弥?」

「正解♪ で、お返事のあった国が当たりってわけ。……よし、ビンゴ!」

 彼女のPCに来た返信メールの文面は中国語だった。

「……ってことは、中国のサーバーを使ったってこと?」

「ううん。確かにあたし、中国にもハッカー仲間がいるけど、正解はシンガポール」

「「シンガポール?」」

 思わずわたしと内田さんの声がハモった。

「そ。あの国は多国籍だし、中国からの移民も多いから。ネット関係はけっこう緩いんだよ。メールをくれたあたしのお仲間は、中国から移住してる人。――あー、やっぱりね。このアカが作られたのと同じ時期に、ある日本人男性がアクセスした履歴を見つけたって」

「誰ですか、それって」

「俳優の、小坂リョウジ。つーまーり、このアカは小坂リョウジの裏アカ確定ってこと」

「やっぱり……そうなんだ」

 調査結果はほぼわたしの予想どおりだったけれど、確定したことで小坂さんの狂気を見た気がしたわたしには()(かん)が走った。


「このデータはプリントアウトして、篠沢さんにお渡しします。これをこの後どう使われるかはあなたにお任せしますね。――で、調査料金についてなんですが」

 応接スペースに真弥さんが戻ってきたところで(といってもパソコンデスクはすぐ横にあったのだけれど)、内田さんからそう切り出された。

「ウチの事務所では他の調査会社と違って、ウチでの調査結果を依頼人に言い値で買い取ってもらうシステムになってるんですが……。最低ラインで二十万円になりますけど」

「わたしの言い値でいいんですね? じゃあ五十万円で」

「五十万……、いいんですか? けっこうな大金ですよ?」

「いいんです。これで大切な彼を守れるなら安いものですから。一応、百万円までは出せるように銀行で下ろしてきました」

 わたしは通学バッグから現金の入った封筒を取り出すと、そこから半分を引いてローテーブルの上に置いた。
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