暁 〜小説投稿サイト〜
トップシークレット☆ 〜お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる〜
第3部 秘密の格差恋愛
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う。腕時計、どこで買おうか?」
わたしたちはベンチから立ち上がり、次の目的地へ向かおうとした。
腕時計は彼が誕生日プレゼントに「これが欲しい」とリクエストしてくれたもので、ファッションウォッチよりもスポーツウォッチのようなものがいいと聞いていた。その方が丈夫で壊れにくいし、防水加工もされているから、と。
ボスのタイムスケジュールも管理している秘書にとって、腕時計は必需品なので、わたしもそのリクエストを即採用したのだ。
「そうですね……。検索した限りだとこの施設にはなさそうなので、一度出た方が――」
「あっ、絢乃タンだぁ♪」
彼との会話に気を取られていると、すぐ近くからわたしの名前を呼ぶ女の子の声がした。
「あ、
唯
(
ゆい
)
ちゃん! こんなところで会うなんて珍しいね」
赤い
伊達
(
ダテ
)
メガネをかけて短めのポニーテールを揺らしながら手を振ってくれた彼女は、三年生で初めて同じクラスになった
阿佐間
(
あさま
)
唯ちゃんだった。メガネのフレームと同じ赤いチェック柄のシャツワンピースとニーハイソックスでおめかししていて、いかにも「今日はデートです」と言わんばかりだった。
「……あの、絢乃さん。この方、お友だちですか?」
「うん。四月にできたばっかりの親友で、阿佐間唯ちゃんっていうの。阿佐間先生のお嬢さんだよ」
「阿佐間先生って、今年度からウチの顧問になられた弁護士の?」
「そうそう。わたしもね、始業式の日に唯ちゃんから『ウチのお父さんがお世話になります』って言われた時はびっくりしたんだよー」
わたしが貢に説明していると、彼女も向かいで「うんうん」としきりに頷いていた。
「で、この人は絢乃タンのカレシさんだよね? 唯も里歩タンから聞いてるよー♪」
「そうだよ。わたしの彼、桐島貢さん。会長秘書をしてくれてて、すごく頼りになるの」
「初めまして、唯さん。桐島です。絢乃さんとお付き合いさせて頂いてます」
「どうも、初めまして☆ 阿佐間唯で〜す♪ ウチの父がお世話になってますっ」
バカみたいにかしこまって自己紹介をした貢に、唯ちゃんは楽しげにビシッと敬礼なんかしてみせた。
「…………なんだか、唯さんって個性的なお友だちですね」
「唯ちゃんはアニメのオタクなの。貢、お願いだから引かないでね……?」
「引きませんよ。僕は偏見なんてありませんし、大好きな絢乃さんの大事なお友だちですから」
なかなかに強烈な個性を放つ親友に、彼が引いてしまわないか心配だったけれど。「引かない」と断言してくれた彼は本当に器の大きな人だと思った。
「――ところで、唯ちゃんは今日デート?」
「うん♪
浩介
(
こうすけ
)
クンと初めてのデートなんだぁ? 三階のシネコ
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