暁 〜小説投稿サイト〜
トップシークレット☆ 〜お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる〜
第3部 秘密の格差恋愛
次のステップって……? A
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 ――その翌日。わたしは仕事のお休みをもらって(学校は元々春休みだったし)、里歩と二人で渋谷までショッピングに来ていた。「おめでとう」の言葉は前日の夜にメッセージアプリでもらっていたけれど、その時に「絢乃の誕プレ、どうせなら一緒に買いに行こうよ」ということになり、母に出社を代わってもらって出かけてきたのである。

「――あ、春の新作ルージュもう発売されてんじゃん♪ これって絢乃がCMのオファー断ったヤツだよね?」

 デパートのコスメ売り場で、〈Sコスメティックス〉のブースの前を通りかかった里歩が口紅を一本手に取ってわたしに問うてきた。

「……そうだけど。イヤなこと思い出させないでよ」

 わたしは露骨に顔をしかめた。
 貢と付き合い始める前、もしもCM出演を断っていなければファーストキスを奪われていたかもしれない相手。その小坂リョウジさんはCMで共演していたモデルの女性とすぐに男女の関係になったらしいけれど、三月のうちに破局したのだと里歩から聞いた。

 里歩はその報道を目にするなり彼のファンをやめた。女性に対して節操のない彼に幻滅したのかもしれない。

「じゃあこれ、買わないの? 小坂リョウジのことはアレだけど、口紅に罪はないでしょうよ」

「そうなんだけど、それを塗るたびに小坂さんとキスしてるような気持ちになるのがイヤなの。何だか浮気してるみたいで、貢に申し訳ないっていうか」

 もちろんわたしは貢ひとすじだし、浮気心なんてかけらもないけど。わたしが気にしすぎているだけかもしれないけれど……。

「それってアンタの考えすぎじゃないの? ……まぁいいや。どうしてもイヤだって言うなら別のにするかー」

「ごめんねー。せっかく選んでくれようとしてたのに」

「いいってことよ。んじゃあー……、こっちにしよっか。桜色リップグロスとチーク。あとアイシャドウとクッションファンデもね」

 気にするなとばかりに肩をすくめ、次々にコスメを選んでくれた親友に、わたしは「うん、それでいいよ。ありがとね」とお礼を言った。


「――ねえ里歩。『次のステップ』ってどういう意味だと思う?」

 渋谷センター街のバーガーショップで一休みしていた時、わたしはオレンジジュースをストローですすってから里歩に訊ねた。

「は? 何をいきなり」

 大真面目に訊ねたわたしに、コーラを飲んでいた里歩がポカンとして訊ね返してきた。

「昨日、貢が呟いてたの。来月の連休中に、彼の部屋でお誕生祝いしようってわたしが言ったらすごく取り乱してて。『そろそろ次のステップか……』って。これって恋愛で次のステップ、ってこと……だよね?」

「そう……なんでない? っていうか待って。『彼の部屋に行く』って言ったの、アンタ?」


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