暁 〜小説投稿サイト〜
トップシークレット☆ 〜お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる〜
第3部 秘密の格差恋愛
彼のために、わたしができること B
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*
――事前に訪問のアポをとっていたためか、聞き取り調査は割とスムーズに進んだ。同僚だった貢を連れて行ったから、みなさんも話しやすかったのかもしれない(というか、彼がクルマを出してくれないと、そんなにあちこちには移動できないのだけれど)。
やっぱり精神的に参っている人たちがほとんどで、まだ次の就職先が見つかっていない、もしくは非正規雇用でしか働けなくなったという人も多かった。そういう人たちに「もしこの問題が解決したら、ウチの会社に戻って来ませんか?」と声をかけてみると、「前向きに考えてみる」と色よい返事も多くもらえたので、わたしもこの件の解決に
俄然
(
がぜん
)
ファイトが湧いた。
「――あー、お腹すいた。今日はハンバーガーが食べたい気分〜」
とある平日の、会社からの帰り道。わたしは助手席で貢に夕食のメニューをリクエストした。もちろん彼におごらせる気はさらさらなくて、どのお店に行きたいか言っただけのことだ。
ちなみに家庭訪問を行っていた期間は帰りだけ会社に寄らず、彼のクルマで直帰していた。その間に溜まった決裁などの仕事は母にお願いして、わたし個人のノートPCに転送してもらって家で処理していた。
とはいえ、オフィス内でデスクワークをしている時より、外回りの仕事(これは仕事にカウントしてよかったんだろうか?)をしている時の方がエネルギーを消耗するので、帰りには二人とも毎日お腹がペコペコになっていた。
夕食のメニューは毎日その日の気分で決めていて、ガッツリ焼肉の日もあれば回転ずしの日もあったり、ファミレスで済ませることもあった。
「ハンバーガーですか? ……えーと、このあたりに美味しい店なんてあったかな……」
彼は車載ホルダーにセットしたスマホで、ハンバーガーのお店を検索し始めたけれど。前方には超有名なファストフードチェーンの黄色い「M」の看板が見えていた。
「そんなにいいお店じゃなくても、あれでいいよ」
「……えっ? あそこでいいんですか?」
「うん」
――そんなわけで、その日はお互いに好きなバーガーとフライドポテトのセットで夕食を済ませて帰宅。そんなこともあった。――そういえば、ワサビとカラシ以外に炭酸飲料も苦手なんだと彼に打ち明けたのも、確かこの日だったな……。
――そうして、年度末も押し迫った三月二十七日にはすべての証言が揃い、わたしは本部の監査室へ連絡を入れた。
「――監査部長の
寺本
(
てらもと
)
さんですか? わたし、会長の篠沢ですが。篠沢商事について、大至急監査に入って頂きたい案件があるんです。――ええ、よろしくお願いします」
受話器を置いたわたしのデスクに、会議用の資料を作成していた貢がやってきた。
「会長、島谷課長の処遇を決定する
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