暁 〜小説投稿サイト〜
トップシークレット☆ 〜お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる〜
第3部 秘密の格差恋愛
彼のために、わたしができること A
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てましたよね? 桐島さんは確か、入社して三年目だったっけ」

「はい、もうすぐ四年目に入りますけど。島谷課長は僕が入社二年目の年から課長になったんで、パワハラに遭い始めたのもその頃からだったんです」

「……なるほど、分かった。ありがとう」

 貢の説明で納得がいった。島谷さんという人は、管理職に昇進したことで「自分が権力を持った」と勘違いして部下に偉そうな振舞いをするようになったということか。

「――あの、私からの報告は以上になりますが。これで、この問題を公表する材料は揃いましたでしょうか?」

 おずおずと、山崎さんがボスであるわたしの顔色を窺うようにして訊ねた。

「う〜ん……。わたしとしては、退職されたり休職している人たちからも話を聞きたいなぁと思ってるんですけど。それはこちらで引き受けますから大丈夫ですよ。山崎さん、この資料頂いてもいいですか?」

「ええ、もちろんです。それは会長に差し上げますので、お好きなようにご活用下さい」

「ありがとうございます。今回はわたしの無理なお願いを聞き入れて下さって、本当にありがとうございました。じゃあわたしも、さっそく明日から動いてみます。聞き取り調査が終わったら会議を開いて、島谷さんの処分などを相談しましょう」

「かしこまりました。後のことは、会長に一任致します。では、私はこれで」

 貢に「君が淹れてくれたお茶、美味しかったよ。ありがとう」とお礼を言って、山崎さんは会長室を出て行かれた。


「――ここからは、わたしの仕事だね」

 わたしはマグカップと資料を持ってデスクに戻り、改めて資料の内容を確認しながら言った。

「明日からここに載ってる人たちに聞き取りして、証言が集まったら重役会議。その後は……最悪、本部の監査室に動いてもらうことになるかなぁ」

 ハラスメント問題はグループ内のコンプライアンスにも関わってくる。本部の監査室はその調査を行う専門部署なのだ。

「そして島谷課長の処分を決めて、記者会見、と。――ですが明日からというのは? 会長、学校を休まれるおつもりですか? ……明日は土曜日なので、来週からになりますか」

「違う違う! 明日は卒業式だから、午前中に終わるの。わたし二年生だから、在校生代表で出席するんだ」

「ああ、なるほど。そういうことですか」

「で、来週からは新入生のための説明会とかがあるから、終業式までは短縮授業に入るの。というわけで、わたしは明日からまた早めに出社できます。以上」

「分かりました、了解です。――ですが、会長はどうしてそこまで……?」

 彼は首を傾げた。わたしがどうしてそこまで、社員のみなさんのために必死になれるのか、不思議で仕方がないらしい。
 でも、それは父だってそう
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