暁 〜小説投稿サイト〜
トップシークレット☆ 〜お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる〜
第2部 放課後トップレディの初恋
縮まらないディスタンス @
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驚いたように訊ねた。
「会長、あちらの商品の大ファンでしたよね? またとないチャンスだったんじゃないですか? もったいない」
「だって……、キスシーンがあるっていうんだもん。
小坂
(
こさか
)
リョウジさんって、ドラマでもCMでもホントに相手にキスするって有名なんだよ」
「だからといって、そんな
無碍
(
むげ
)
に断るなんて……」
眉をハの字にして困っていたわたしの弁解に、彼は「そんなの会長らしくないです」と言った。
「わたしね、ファーストキスは絶対、好きな人としたいの。だから断ったの」
「好きな人と……って、えっ? ファーストキスなんですか」
「うん」
わたしは彼の顔をじっと見つめ、「貴方のことだよ」と目だけでメッセージを送ってみた。
「……そうでしたか。それならお断りしたのも仕方ないというか、納得できますね。ですが、会長の好きな人か……」
ところが、彼はうろたえるだけでそれが自分のことだと分かっているのかいないのか、わたしにはどちらとも判断できなかった。
「…………何ですか? 僕の顔に何かついてます?」
「えっ? ううん、何でもない!」
知り合ってからそろそろ四ヶ月が経とうとしていて、
傍
(
はた
)
から見ればドライブデートみたいなことまでしているというのに。わたしの気持ちに気づいていないようなのはどういうことなのか。そこまで自分に想われている自信がないのか、それともただ単に鈍感なだけなのか? 「初恋って厄介だなぁ」と、わたしはこっそりため息をついたのだった。
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