暁 〜小説投稿サイト〜
トップシークレット☆ 〜お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる〜
第2部 放課後トップレディの初恋
縮まらないディスタンス @
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会長に、春から売り出す新作ルージュのイメージキャラクターを務めてほしい」と言ってきたのだ。

「そりゃあ……、わたしもおたくの商品の愛用者ですけど。コスメはもちろん、スキンケアやヘアケア、ボディケア商品まで。でもCM出演なんて……、わたし素人なのに」

「弊社の商品をご愛用して下さってるんですね、会長! 感謝します。……実は、これまでイメージキャラクターを務めて下さっていたモデルの女性が、スキャンダルで降板してしまいまして。後任に誰を起用しようかと相談していた時に、TVの報道番組でお見かけした会長の清楚な感じがイメージにピッタリはまっていたので、こうして出演交渉に参った次第でございまして」

「……はぁ」

 揉み手せんばかりに愛想笑いを振りまく彼女たちに、わたしはタジタジになっていた。こういう時の対処法を知っていそうな貢に頼りたかったけれど、彼は給湯室へお茶を淹れに行っていてその場にいなかった。

「ちなみに、このルージュの新しいキャッチコピーがですね、『キスしたくなる春色ルージュ』でして、男優さんとの共演になります。キスシーンが見どころになってまして――」

「き……っ、キスシーン!?」

 貢が戻ってきたタイミングでわたしは思わず声が上ずってしまい、緑茶の入った湯呑みが三つ載せられたトレーを抱えた彼に「どうかされました?」と首を傾げられた。
 わたしは彼に「何でもない」と小さく首を振り、女性たちに向き合った。

「あの……、何か問題でも?」

「このお話、お受けしたいのはヤマヤマなんですけど。それにあたってこちらから一つ、条件を出せて頂いていいですか?」

「条件……ですか? ええ、おっしゃって下さい」

「キスシーンのことなんですけど、カメラの角度などで実際にしなくても、しているように見せる撮影っていうのは可能でしょうか? そうして頂けるなら、わたしもオファーをお受けします」

「それは大丈夫です。では会長、よろしくお願い致します! 弊社のお願いを受け入れて下さってありがとうございます!」

「いえいえ。御社も我が篠沢グループの会社ですから。わたしも会長として、愛用者としてしっかり商品の宣伝をさせて頂きます」

 ――そんなわけで、わたしは〈Sコスメティックス〉の新作ルージュのCMモデルを引き受けることにしたのだけれど……。

「――会長、引き受けてよろしかったんですか?」

「ん? 引き受けちゃマズかった?」

 お客さま方がお帰りになった後の応接スペースで、少し冷めたお茶を飲んでいたわたしに貢か首を傾げて訊ねた。

 ちなみにわたしは猫舌で、お茶もコーヒーも少し冷めたくらいが飲みやすいのだけれど、それはさておき。
 彼はわたしに断ってほしかったのかもしれない。わたしからあ
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