九話
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う事があるのだろうか。
それとも、別の思惑が……まあいい、今はそんな事を考えても仕方が無い。もう片方の転校生に目をやるとしよう。
もう一人の転校生はやや白に近い銀の髪を腰まで下ろしている。そして目に付くのは、眼帯だ。
医療用のものでないそれを、自然体につけているのは、それと長い付き合いがあるという事だろう。
身体はデュノアよりよほど小さい。が、身にまとうそれが軍人だという事は、私には誰よりも深く認知できる。
まだ殺しはしていない、だが覚悟はあるという面構えを、宇宙世紀で嫌というほど見せられてきた。
「…………」
当の本人は未だ口を開かない。此処に来るのが心底嫌という様子だった。
まあ理解はできる。軍人であれば、こんなおままごとの様な学校は辛いだろう。
「……挨拶をしろ、ラウラ」
「はい、教官」
綺麗な敬礼だ。しかし、織斑先生は答礼をしなかった。
織斑先生に対して、教官か。昔どこかでやっていたのだろうか。
「ここではそう呼ぶな。此処では私は一般教員で、お前は生徒だ。織斑先生と呼べ」
「了解しました」
相変わらず、軍人口調が抜けてない様子だ。どこかでサポートしてやるべきか。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「…………」
沈黙。クラスメイトが次の言葉を待っていたが、不動の姿勢をとっている。
「あの、以上ですか?」
「以上だ」
山田先生の助勢も、にべもなく切って捨てられた。大人への口調がなってないそれは、軍人の方もおままごとで自己完結してるように見える。
これは何か手助けしてやるにしても、難題だなと考えていると、ボーデヴィッヒは何かを見つけ、歩いて行った。
「っ!貴様が……」
彼女は一夏の前へ行くと、大きく手を振るった。
平手打ち。一夏も困惑している。
「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか」
これには私も大層驚いた。実際皆驚いているし、箒に至っては口をぽかんと開けている。
「いきなり何しやがる!」
「ふん……」
一夏の問いには答えず、そのまま空いた席に座るボーデヴィッヒ。その姿、その精神には、グリプス戦役での若い強化人間を想起させられる。
感傷的で、幼い。癇癪を起こす様な強化人間がハマーンのもとにいたと、人づてで聞いた事がある。
「あー……ゴホンゴホン!ではホームルームを終わる。各人は直ぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は二組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」
さて、あの様子を見ても叱らないのは教師としての欠陥か、はたまた自分の弟だから良いのか。
どちらにせよ、教師には向いてない。変にちゃんと教師をしてる面が多いため、
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