二巻
八話
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が良いと言う。そんなに私の声が良いのだろうか。自分ではわからない物だ。
「まあ私の声や顔はともかく。……ここだけの話にしてもらえるか?」
「べつに、いいですけれども」
「いいぜ、約束は守る」
セシリアと一夏が続き、序でに鳳と箒の了承も得た。
「私は、その……包容力のある女性が好みなのだ。年上の、包み込んでくれる様な女性がな」
「シャアって、その……マザコンだったのか。壮絶な生い立ちだからな、俺も似たような感じだからわかるよ」
「成程……包容力と言えば、やはり料理ですわね。精進しなければ」
一夏がそう言い、セシリアが何やらぶつぶつと呟く。私が孤児である事は皆知っている。
しかし、自分でもここまで正直に話せたことに驚いてる。まだ二カ月しか経っていないが、私の中ではこの集まりが重要な人達に思えているのだろうか。はたまた、何年もこの世界で生きて来たからやけになっているのか。
きっと、前者だろう。この世界で私と出会った少年少女たちは、皆希望に満ちている。
「それより!一夏、あんたもそういうのが好みなの!?」
「そうだぞ一夏、年上が好みなのか!?」
「えっ、どうだろな。確かに包容力のある女性は好みだけど……」
詰め寄る鳳と箒に、しどろもどろになりながら答える一夏。
そうやって、会話は弾む。本当に、良い者達に出会えたものだ。
朝食を取り終え、各自は解散という流れになった。
いつもは一夏とボードゲームなどと洒落込むのであったが、今日はIS学園の外に出てるという事で一人だ。
大体一人の時は、読書に時間を費やしている。
宇宙世紀では古書となった物が、この世界では手軽に手に取り楽しめる。
私もイギリスに生まれたからにはとシャーロック・ホームズのシリーズとシェイクスピアを読んだが、中々面白かった。
今は日本語を覚えたので、日本の文豪の本を読んでいる。
芥川龍之介の河童。これが中々面白い。
私も伝承の存在で河童は知っていたが、まさかあのように表現するとは。河童の社会性も奇抜で、楽しみながら読んでいる。
そんなこんなで読みふけっていると、ドアをノックする音が聞こえてくる。
「シャアさん、そろそろ昼食の時間ですわよ。良ければご一緒しません?」
セシリアが声をかけて来た。もうそんな時間か。
「わかった、今行く」
手に持っていた本に栞を挟み置いて行くと、扉の前ではセシリアが待っていた。
「今日は何をしていたのですの?」
「読書だな。日本の文豪も侮れない」
「正直、日本語の読み書きにはまだ慣れない物ですの。……今度お教えして貰っても?」
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