七話
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たのではないか。
そんな事を考えながら、階段を上る。
何時だって私は堂々巡り、昔の過ちに怖気づいてる
ふと、窓から新緑が見えて来た。
視線をやり、綺麗な緑を見る。
五月、初夏の出来事だった。
「織斑先生、やはり駄目です。システムの方はロックの解除ができません」
「そうか」
そう言いながら、私は珈琲を啜った。
となると、やはりあいつしか考えられんな。
「しかし、一体どのような目的で送られてきたんですかね、この無人機は」
「さあな。それが分かるのはそれを送った当本人だけだろう、今の所は」
だが、確かに問題はその誰かが何故アズナブルのデータを欲しがったのか、という事だった。
そんな事を考えていると、地下室に一人入ってくるものがいる。
「うひゃー、随分綺麗に壊しましたね。わかっててやってるんですかね、これは」
「来たか、更識」
更識楯無。この学園の生徒会会長にして、更識家の十七代目当主。
彼女にはとある頼みごとをしていた。
「それで、アズナブルの件は」
「進展らしいものは何もないですね。まっさらな経歴で、まるで踊らされてる気分です」
やはりか。しかし、元々難しいだろうと思ってはいたが、更識でも駄目か。
「これ以上洗っても多分何も出ないでしょう。もうアレは在野の天才というか、篠ノ之束とかと同じ領域なんじゃないですかね」
「そうか」
更識が無人機のもとへ歩いていく。
「きれいに関節の弱い部分をピンポイントで叩いてますね、これ。そして、締めの一撃で機能中枢を壊す、と。余程やり馴れてなくちゃ無理ですよね」
「だがアズナブルは、初見でやって見せた」
「何度も言いますけど、何も後ろ暗いところはありませんよ、彼。……まあ我々から隠し通せるほどの諜報力を持ってるのだとしたら、それこそ化け物ですけど」
「そうだな。だが現状は疑わしい所しかない。諜報員だったらもっとうまくやるだろうにな」
更識の言葉に、私も同意する。
「しかし、この無人機を送って来た者はアズナブル君の事を解っていて送って来たんですよね。やっぱりなんかありそうですね」
「そうだな。それは直接、この無人機を送ってきた奴に聞いてみるほかないだろう」
「そうですね。……彼女が応じるでしょうか」
「絶対に応じさせる。私がだ」
「それは安心感がありますね」
「だろう?」
そう言って、私は手に持っている携帯を見やる。
何度も発信したそれは、まったく応答がなく終わった。
なあ束。お前は何を考えているんだ。
そんな思いは、地下室の蛍光灯に吸われて消
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