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無限の成層圏 虹になった男
五話
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一夏を待っていたらしい。
 その手には、ラーメンが載せられたお盆を手にしている。もしかして、一夏が来るまでずっとそうして待っていたのだろうか。

 「おう、とりあえずどいてくれ。普通に邪魔だ」

 「う、うるさいわね。わかっているわよ」

 ここで漸く、私は目の前の少女の意図に気が付いた。……成程、箒もそう(・・)かと思っていたが、鳳もそう(・・)なのか。
 まったく、一夏も罪作りな男だ。

 「それにしても久しぶりだな。ちょうど丸一年ぶりになるのか、元気にしてたか?」

 「げ、元気していたわよ。あんたこそ、たまには怪我病気しなさいよ」

 「どういう希望だよ」

 一夏君が困惑する。鳳は緊張のあまり、要領を得ない受け答えをしているように見える。
 下世話だが、正直面白く感じて来た。
 結局、そのまま鳳も同席しての食事という事になった。箒の機嫌がどんどん悪くなるのが見て取れる。

 「それで、その、鳳とはどういう関係なんだ」

 箒がやや荒い口調で問いかける。もはや焦りが隠しきれていない。

 「えっ、いや、只の幼馴染だけど」

 一夏が何でもないように言った。中国人と幼馴染か、どういうことなのだろうか。

 「箒が転校したのって、小四の時だろ?鈴が転校してきたのが、小五の時。んで、中二の時に国に帰ってったから、丁度一年ぶりくらいなんだよな」

 成程。そうなると、鳳は約一年でIS搭乗者として頭角を現し、代表候補生として専用機を与えられたというわけだ。素晴らしい才を持っていると見た。

 「で、鈴。こっちが前にも言ってた、篠ノ之箒。小四までの同級生で、俺が通ってた剣術道場の娘」

 「ふうん、そうなんだ」

 鳳が箒をじっくりと見る。箒も負けじと見つめている。いったい何の勝負をしているのだ。

 「初めまして、これからよろしくね」

 「ああ、こちらこそ」

 そう言って挨拶を交わす二人の間には、解りやすいほどの敵愾心が感じ取れた。思春期の少女らしい、いい感情だ。こういった物を見ていると、やはり私は異物なんだなと感じてしまう。

 「ところで、そっちの二人は?」

 鳳がそう言った。

 「わたくしはセシリア・オルコット。イギリスの代表候補生ですわ」

 「私はシャア・アズナブル。イギリス所属の、男性IS起動者だ」

 「ふーん。あんたとは(・・・・・)仲良くできそうね」

 「お気になさらず、どうぞお好きに」

 鳳の言葉にセシリアが返した。どうやらセシリアも気づいているらしい。

 「で、そっちが噂の二人目ね。結構カッコいいじゃない」

 「お褒めに預かり光栄だ」

 鳳がまるで一夏を牽制する様に言った。正直、一夏には逆効果
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