一巻
二話
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私がセシリアにそう返すと、彼女はいかにも不機嫌といった様子で私に言葉を投げかける。
「女性に囲まれて、喜ばしい、と。……不潔ですわよ」
「まさか、あれはただのジョークだよ。残念ながら、相手は乗ってこなかったがな」
「そうならば、いいのですが」
セシリアの口調に毒が混じる。少々、思春期の少女には下品な会話だったか。
しかし、彼女の言葉はそれだけではなかった。
「……こんな事、出会って間もない貴方に聞くのはおかしいと思いますが」
「……何だ?」
セシリアは、少し聞き辛そうにしながら口を開く。
「いつも、何か思い耽っているご様子。……その様な強さを手にして、何を思い悩んでいるのですの?」
彼女の言葉に、私は一瞬固まる。
そんなに分かりやすく考え込んでいたのか、私は。
少し悩み、しかし何も隠す事ではないと私は考え口を開く。
「なに、大した事ではない。宇宙について考えていた」
「宇宙、ですか」
「先程一夏君にも言ったがね、ISとは本来宇宙を活動する為のパワードスーツだ。人間が宇宙に進出する、全くの未知なる地を開拓するのだ。それは……」
「それは?」
「きっと我々の世代がその時代を担う。その先に____」
「その様な時代が来るのでしょうか」
「____いや、来るとも」
そう言うと、セシリアは不思議そうな顔をする。
「存外……貴方はロマンチストなのですわね」
「そうかな」
微笑みながら彼女がそう言うのに、私は笑いながら返した。
その先、については言わない事にした。
きっと、その先。
ニュータイプの時代が来る。
そして、なにより。
宇宙に行けば、ララァに会えるかもしれない。そんな気がしたのだ。
その後、授業が進み三限目。
授業は比較的穏やかに進んだ。内容は副担任の山田真耶先生による、ISのごく初歩的なものだ。
一夏は勉強してこなかった様で、織斑先生にこってりと絞られていた。
しかし、あの教科書を電話帳と間違えるとは……いや、そもそも電話帳なぞ今どき使わないだろうに。
というわけで三限目なのだが、今回は山田先生ではなく織斑先生が教壇に立っている。
「それでは、この時間では実践で使用する各種装備の特性について説明する。……っと、その前にクラス対抗戦に出る代表者について決めなければな」
織斑先生の口から、興味深い言葉が出た。クラス対抗戦、その代表者か。
「クラス代表者とは言葉の通りだ、クラスを代表して対抗戦にでる。選ばれたものは一年間は変更はないのでそのつもりで挑むことだ。自薦、他薦構わない。誰かいるか」
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