一話
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「母偉大だ……特に料理が美味いところとかが」
そういって、俺はその身をベッドへと投げ出した。
「それにしても、まさかこんなことになろうとはねぇ……」
あの後、落ち着いて自分の身体検査をしたところ、財布やら生徒手帳が見つかった。生徒手帳で自分が“麻帆良学園”男子中等部と分かった時、自分の中に情報が流れてきた。
「あれが型月で言う記録……かな。あんまり気分のいいもんじゃなかったなぁ……」
あくまで自分の中に流れてきたのは情報であって経験ではない。それこそ、俺が目覚める前の自分がどんな人柄、何をしてきたか等がこと細かに入ってきたが俺にさして影響を与えている様には思えない。
「ま、難しいことはいっか。それにしても、両親と名前が全く一緒とは……」
得た情報に今が春休みであり、実家に帰省中というのがありこれまた得た情報を便りに帰宅したのだが、家に居たのは俺の記憶にある母親と全くと言っていいほど一緒だった。慌てて情報から父親に関して探ってみたが、コチラも母親と同じく俺の記憶と全く変わらなかった。最も、それ故にさして違和感もなく夜まで過ごせたのだが……
「でも、姉貴はいなかったなぁ……」
たまたま家に居なかった、とかではなく存在しなかった。俺、“宮内 健二”の姉はこの世界にはいない……会えないのだ。姉弟中は良かっただけに少し、寂しさが込み上げる。
「それより、今日は疲れた」
既に入浴は済ませている。この段々と重くなっていく瞼に逆らう必要はない。俺は数秒もしない内に、深い眠りへと落ちて行った。
この後数分後に送られてきたメールが、これからの人生に大きな影響を与えるとも知らずに……
「ん……」
カーテンの隙間から差し込む僅かな光が未だ開くことを拒む瞼を刺激する。二度寝は最高、俺はまだ寝る……しかし、そんな気持ちに反して体の方が勝手に布団から飛び出してしまった。
「例え中身が変わろうと、体はこれまでのことを覚えてやがる……」
以前の俺は非常に早起き君だったらしく、体が勝手に起きてしまったのだ。
「ああ、これから怠惰な生活ができない……」
体を鍛えようと決めた手前、この早起きは有効に活用すべきだ。しかし……筋力とかは俺のものなのに何故こんなことは以前のものを受け継いでいるのだろうか……いまいち納得いかん。
そんなことを考えながらもいつの間にか着替えを始めていた。意識してないのに体が勝手に動いているのはぶっちゃけちょっと怖い。
「ん……?」
着替え終わった時、ふと光を点滅させている携帯に気付いた。俺のものとは機種が違っていたため扱いずらさを感じるが早く慣れ
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