一話
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か。
「それでいいや。あ、後エミヤの容姿と装備、聖骸布の外套とかを魔力で編めるように」
「了解だ。以上か?」
……ん、エミヤ関連でそれ以外に要求することはないかな。さすがに口調は自分のものでいきたいし。
「以上だ」
「それでは、これからお前を転生させる。色々と力を与えたのだ、楽しく生きろ」
爺さんの姿が輝き、俺の意識は途切れていった。
人間、二度目となれば余裕もできる。だからこそこう言おう……
「知らない天井……がない、な」
ちくせう……何故か俺は外で仰向けに倒れているらしい。最初に目に入ったのは青い空だった。
「ん〜」
地面に直接寝ていたためか体の節々が僅かに痛む。そこで、ふとあることに気がついた。
「肌が……黒い?」
自慢じゃないが、俺は色白だった。なんせ生粋のモヤシっ子だったのだから。だからこんな色のはずがない。
「あ、そういえば……」
俺は先程の悪夢(仮)のことを思い出した。……もしかしたら。そう思い、自己の中へと埋没していく。そんな簡単にできるかと思うが、これがあの夢の続きと言うのなら……
「―――投影」
脳裏に並ぶ二十七の撃鉄。その中の二つを打ち降ろす。
「―――開始!」
両腕に顕現する確かな重み。その正体は干将・莫耶。英霊エミヤが主武装とする陰陽の夫婦剣だ。本当にエミヤの魔術が使えたことに俺は感動のあまり涙を……
「って、重ぉ!?」
流せなかった。
「ちょ、何で何で何で!?」
何とか耐えようと両腕に力を込めるも、三十秒と保たずに腕が震え出す。
「何とかせねば! そうだ! 同調、開始!」
苦し紛れとばかりに、俺はもう一つのエミヤの魔術を行使した。
あの後、何とか行使に成功した強化の魔術で何とか窮地を脱した。
「おいおい……冗談だろ?」
地面にへたりこんで思わず声を上げる。だってそうだろう? 思わずフォーッ! っと叫びそうになった直後にこれなのだ。
「あの時気付くべきだった……」
あの爺さんはエミヤの何が欲しいか、と聞いてきた。それに俺は固有結界……エミヤの魔術を使いこなすことと、あの並外れた弓術、そして容姿と魔力による防具の編み込みを要求した。
そう、その要求の中にはエミヤの身体能力が含まれていなかったのだ。
「何という罠……孔明もビックリだぜ」
何にせよ、このままやっていくしかない。今すぐ干将たんと莫耶たんとで運動による息切れ的な意味で できないのは残念だが、これから頑張ればまだ間に合うだろう。だが、それより前に一つ問題が……
「ここ、どこ?」
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