第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第3話 桃花
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えた桃の木を背にして。
呆然とした雰囲気のふたり。
但し、見た目から呆然としている様子が簡単に判るキュルケと、雰囲気以外は先ほどまでとまるで変わりがないタバサ、と言う妙な取り合わせとなっていたのですが。
場を少しの静寂が包む。次の展開は、俺でも無ければタバサでもない。もうひとりの登場人物によって為されるべき。
そう、情熱の色を持つ、今一人の少女によって……。
キュルケが居住まいを正し、改めて俺を視る。
但し、先ほどまでとは雰囲気が少し違う。おそらく、この時に初めて俺と言う存在を認めたのでしょう。
「先ほどは無礼な物言いをして、真に申し訳有りませんでした。
私は、キュルケ。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。ゲルマニア辺境伯の娘です」
優雅に貴婦人が行うような礼を見せるキュルケ。しかし、ミニスカートでは少し雰囲気が合わないとも思うのですが。
それに、ふたつ、妙な事を言いましたね、彼女。
ひとつ目は、ゲルマニア。俺の記憶が確かなら、ゲルマニアとは、ローマ帝国に置けるある地方を指し示す名称だったような記憶が有ります。確かドイツ辺りの事だったかな。
つまり、そんな国は、俺の知っている限り存在してはいない、と言う事。そうかと言って、ゲルマニア一帯を支配している辺境伯って言うのも、領地としては巨大過ぎると思います。
少なくとも、伯爵位では収まらない。……と言うか、大公でも無理ですか。
そして、もうひとつは、
「辺境伯と言うのは、伯爵と公爵の間の位の事ですか?」
こちらの方は、実際の言葉にして聞いてみる俺。
もっとも、そんな爵位は現代社会には残ってはいません。それに、侯爵と言う爵位も存在していて、辺境伯と言う爵位には侯爵ほどの格式が認められなかったような気もしますね。もっとも、うろ覚えの知識でしかないから、はっきりとはしないのですが。
……? もしかして、この世界は、マジで中世の貴族社会が続いている世界なのですか?
「東方には、辺境伯は存在しないのでしょうか?」
この世界的に言うと、かなりマヌケな俺の質問に対して、彼女に取っては、おそらく至極もっともな疑問を返して来るキュルケ。
矢張り、貴族制度が維持されている世界。もしくは、次元移動と合わせて、時間移動まで行って、俺が元居た世界の同一時間の平行世界ではなく、過去の時間に相当する平行世界に召喚された可能性が出て来たと言う事ですか。
それとも、俺が生まれてからずっと暮らして来た世界からはかなり遠い平行世界で、貴族社会が続いている、更に魔法の存在する平行世界に召喚されたのか。
どちらにしても、この雰囲気では簡単に帰る事は出来そうもない事は判りまし
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