暁 〜小説投稿サイト〜
Xepher
第二話 斬獲のシュラネス
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
る。

『お前、名はなんだ』

その言葉に、男は躊躇うことなく返事をする。

『俺は斬獲のシュラネス。そう、貴様の内に宿る死神の名だ』

その言葉を言い終えた頃には、二人は上空にいた。
二人の人間離れしたスピード、そして跳躍力。
アッシュの怒りの剣が、シュラネスに襲いかかる。

『絶対に許さねえぞ、お前だけは!』

『礼儀を知らぬ三流が。口を聞き方を教えてやる』

二人は空中で旋回しながら何度も互いの剣を重ね合う。
凄まじい金属音だけが周囲に響き渡る。
だが、少し様子がおかしい。
シュラネスはまるで遊んでいるかのように、ただ攻撃を受け流しているだけだった。

『なんだお前、ふざけてんのか!?』

アッシュは一旦距離を置くと、凄まじい烈風を剣に巻きつける。
それはまるで竜巻。
英雄にして父オルガの剣がついに解き放たれる。

『見せてやるよ、これが風の力だ!』

―虎牙風神流―

空波烈風陣(くうはれっぷうじん)

アッシュは大きく剣を振り払い、先程まで集約させていた風を一気にシュラネスに
向けて放つ。
だが、彼は顔色一つ変えず、こう言った。

『英雄オルガの剣、虎牙風神流か。だが―』

彼は無防備のまま、自身に迫るその烈風を見つめていた。
そして―

『そんなものか』

『なに!?』

シュラネスは長刀をたった一振りしただけで、アッシュの放った烈風を
かき消してしまう。
その光景に、アッシュは驚愕する。
そして、言葉を失った。

『嘘だろ!?たった一振りで俺の風が・・・』

二人は地に降りた。
先に口を開いたのは、斬獲。

『何度も言わせるな。今のお前では何も変えられん。今のでわかっただろう』

『例えそうだとしても!』

アッシュはジェイルの仇を討つ為に、再び前進した。
せめて一撃だけでもと、彼はそう願った。
その様子を確認したシュラネスも、地を蹴り、走り出す。

『親友を殺されて、何もしないまま終われるかよ!』

『ならば貴様にも、斬獲の刃を授けよう』

二人は同時に互いの間合いに踏み込んだ。
先に攻撃を繰り出したのはアッシュ。
だが、その斬撃がシュラネスに当たることはなかった。
彼は水が流れるように華麗な動きでアッシュの体をすり抜けるように通過し、静かに交差する。

『終わりだ』

『な!?』

その瞬間、アッシュの全身から血が吹き出る。
思わず剣を床に落とし、その場に倒れた。

『強・・・過ぎる!?』

その光景を見つめながら、シュラネスはあえて何も言わぬままその場を去ろうとする。
だが―

『どこ行くんだよ、お前の相手はまだ死んでねえぞ・・・!?』

斬獲はため息をついた。


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ