暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第239話:二兎を得ても一兎を得られず
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ワイズマンは苦も無く受け止め防ぎきってしまった。技を放ち終え、後に残った焼け跡の中心に無傷で佇むワイズマンの姿に奏は悔しそうに歯噛みしながら着地した。

「くっそぉ、微塵も堪えないとか少しショックだぞ」
「と言うか、真下に向けて大技使うな馬鹿者」
「アイデッ!?」

 着地した奏を待っていたのは、彼女を助ける事を目的とし再会の時に焦がれていた颯人の抱擁ではなく、危うくシャトーが崩壊する危機に額に青筋を浮かべたキャロルの拳骨であった。奏は、颯人が輝彦に叱られた時の様に殴られた箇所を両手で押さえながらその場に蹲る。

「ぐ……い、つぅぅ……んな殴らなくても良いだろうが。ちゃんと下が崩れないように威力は加減したっての」
「そう言う問題じゃない。全く、お前と言い立花 響と言い、どいつもこいつも……」

 色々と言いたい事はあるキャロルではあったが、今はそれどころではないので言葉を飲み込み視線をワイズマンの方へと向けた。キャロルの視線に気付いたワイズマンは、体に付いた埃を払うように手で叩きながら、余裕を表すかのように両手を広げて近付いて来る。

「やぁやぁ、意外と時間が掛かったね。特に邪魔は用意していなかった筈だが……?」
「まぁ、こっちにも色々と準備があってな」

 ここで言う準備と言うのは、損傷したオートスコアラー達とヴァネッサ達をS.O.N.G.の本部潜水艦へと連れていくことと、奏の要望で当時のシャトー上部の様子を確認する事であった。それにより奏はクリスの危機を察し、彼女を助けるべくワイズマンに奇襲を仕掛けようとして最適な位置取りをしていたのである。そして、シャトーの内部を突き破って下から奇襲を仕掛け、残念な事に失敗したのであった。

 無駄にシャトーが破壊されてしまった事に色々と言いたい事はあるキャロルではあったが、それらは後にして今はこの場に残ったワイズマンをどうにかするべく策を巡らせようとした。しかし彼女の横を通り抜けて、颯人がワイズマンへと突撃していった。

「ッ! 明星 颯人ッ!」
「これ以上やらせるかよッ!」
〈イィィンフィニティ! プリーズ! ヒースイフードー! ボーザバビュードゴーーン!!〉

 再びインフィニティースタイルとなった颯人が、カリバーモードのアックスカリバーでワイズマンに斬りかかる。先程颯人がシェム・ハの力との戦いで魔力を大幅に失い、今はガルド達から魔力を補充されて辛うじて変身していられるのだと言う事を知っていたワイズマンは彼が再びインフィニティースタイルになれた事に疑問の声を上げる。

「貴様……さっき魔力が底をついていた筈。なのに何故その姿になれる? もう通常のスタイルになるのがやっとだった筈だ」

 その問いに対する答えは実に単純であった。

「へっ! 生憎だったな?
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