暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第239話:二兎を得ても一兎を得られず
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鳴に響と透の悲痛な声が重なる。ワイズマンはそれを愉しむ様に肩を震わせ、足元のクリスを踏み躙りもっと悲鳴を絞り出そうとした。

 その間にメデューサは未来を連れて魔法で何処かへと転移してしまった。

〈テレポート、ナーウ〉
「あぁっ!? 未来ぅッ!?」

 目の前で連れ去られる未来を前に、響は悲鳴のような声を上げるしか出来なかった。一方、それを見届けたワイズマンは満足そうに頷くと最後の仕上げと言わんばかりに手にした光刃でクリスの喉を切り裂こうとした。

「ふむ、もう人質も必要無いか。では、帰りの土産にこの少女の声でも奪っていくとするかな」
「なッ!?」
「止めろワイズマンッ!? それだけは止めろッ!!」

 クリスの喉を切り裂こうとするワイズマンに、彼が本気だと察した透が動き出す。いや、彼だけではない。その場で動ける全員がこれ以上の暴虐を許すまいとワイズマンに攻撃を仕掛け中断させようとしていた。

 切歌は鎌の刃を飛ばし……

 調は丸鋸を飛ばし……

 セレナはビームダガーを投擲し……

 ガルドは槍を投擲しようと構え……

 颯人がガンモードのウィザーソードガンの銃口を向け……

 響が立ち上がり拳を握り……

 透が飛び掛かり手にした剣を振り下ろそうとした。

 だがその全てが間に合わない。どれか一つがワイズマンに届く前に、クリスの喉は無残に切り裂かれ彼女の歌声は一時であっても失われるだろう。透の脳裏に、嘗ての自分の姿にクリスのそれが重なり絶望に目の前が真っ暗になりかけた。

「止めろォォォォォォッ!!?」

 悲痛な透の叫び声を嘲笑うかのようにワイズマンが刃を動かそうとしたその時、出し抜けにワイズマンは動きを止めると足元に視線を向け、舌打ちしながらその場を飛び退いた。

「チィッ!」
「え?」

 突然その場から逃げる様に飛び退いたワイズマンに誰もが目を瞬くと同時に、クリスの真横を突き破る様に一本の槍が飛び出し先程までワイズマンの居た場所を突き抜けていった。この場の誰もが知るその槍の形状に、真っ先に声を上げたのは颯人と響であった。

「「(さん)ッ!!」」

 2人の声に応える様に、シャトーの中から飛び出した奏は勢いそのままに空中に躍り出ると周囲を見渡し奇襲をギリギリのところで回避したワイズマンに向け『SUPERGIANT∞FLARE』を放った。

「喰らえぇぇぇぇぇッ!」
[SUPERGIANT∞FLARE]

 まるで太陽から放たれた光線の様な一撃に対し、ワイズマンは障壁を張ることで対抗した。

「ヌッ!」
〈バリアー、ナーウ〉

 足場であるシャトーを完全に崩さないようにする為多少は加減した攻撃ではあるが、それでも相応の威力を持つはずの一撃を
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