第3部
グリンラッド〜幽霊船
再びスーの里へ
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突き刺さる斧を引き抜くと、再びナギに向き直った。
「いざ、勝負!!」
「ちょちょちょ、ちょっと待て!! なんでいきなりあんたと勝負しなくちゃなんね―んだよ!!」
慌てふためくナギに、聞く耳を持たず襲いかかる男性。流石にこれはマズイと、止めようとしたが――。
「いきなり攻撃するなんて、一体何なんですか、あなたは!」
二人の間に割って入ったのは、ルークだった。彼の手には、すでに自身の武器であるパワーナックルを装備している。臨戦態勢に入ったルークに相手の男性は興味を示したのか、斧の刃先をルークへ向けた。
「お前、強そう! 私と戦う、勝ったら里に入れる!」
「は?」
わけがわからないといった様子だが、相手の殺気を感じ取ったのか、構えを崩すことなく相手を見据えるルーク。そんな2人に思わず私はため息をつく。
――ああもう、久しぶりの再会だというのに、相変わらずだなあ。
これ以上傍観するわけにもいかず、私は殺気立つ二人の間に堂々と割って入った。
「み、ミオ!? 危ないよ!」
慌てふためくルークを尻目に、私はかつてともに旅をしたスー族の男性に体を向けた。
「久しぶり、ジョナス」
「おお、ミオ!! 久しぶり!!」
ひらひらと手を振る私の姿を目に留めた途端、ジョナスは持っていた斧を放り投げると、私に向かってタックルをしてきた。
「く……、苦しい……」
否、これは再会を喜ぶ抱擁……のつもりなのだろう。少なくともジョナスにとっては。
「ミオ、元気そうでよかった!! ユウリは一緒なのか!?」
「そ、そこに……げほげほっ!!」
まるで体を握りつぶされるんじゃないかというほどの手厚い歓迎に、抱きしめられた私は息も絶え絶えになりながらもなんとか声を振り絞る。
「随分と手荒い歓迎だな、ジョナス」
そこへ、いくらか体力が回復したのか、ユウリもやってきた。苦笑しながらも、かつての仲間との再会に喜びを隠しきれない様子だ。
「ユウリも!! 久しぶり!!」
ジョナスはユウリの声に気づくと、今度は彼に向かって突撃してきた。体調が悪い上にジョナスに抱きつかれ、ユウリの顔がみるみる青ざめていく。きっとスー族ならではの歓迎の仕方なのだろうが、アルヴィスに次ぐ屈強な体格の人間に抱きしめられたら、いくらユウリであってもただではすまないだろう。
「す、すまないジョナス……、少し離れてくれ」
……やっぱり平気ではなかったらしい。それでもジョナスは気づいてなかったようで、ユウリから離れた今も笑顔で彼の背中をバシバシと叩いている。
一方少し離れたところでは、現状を把握できていない三人が、ぽかんとした顔でこちらを眺めている。しまった、まだジ
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