第二章
[8]前話
「残ってね」
「大変ね」
「ましてあの制服って」
白い詰襟のそれを見つつ話した。
「長袖で動きにくくて」
「学生服みたいなデザインで」
「それでお昼食べて」
その制服を着てというのだ。
「お醤油なんて使ったら」
「いや、使えないでしょ」
同僚はすぐに言った。
「ちょっと」
「ブラウス以上に」
「だって動きにくいから」
夏用の半袖ブラウスよりもというのだ。
「生地も厚いし」
「そのこともあって」
「それでね」
そうであってというのだ。
「本当にね」
「使えないのね」
「気軽にテーブルのお醤油取って使うなんて」
そうしたことはというのだ。
「あの制服じゃね」
「無理ね」
「シミが付くのが怖くて」
「そう思うとあの制服もいいことばかりじゃないわね」
「白いと光を反射して」
そうしてというのだ。
「その分涼しいけれど」
「夏でもね」
「けれど」
それでもというのだ。
「食べる時は注意が必要ね」
「夏はね」
「そうね、夏は冬よりもね」
「そうしたことに気を付けないとね」
「白い服を着ることが多いから」
「本当にね」
こうした話をしてだった。
二人は基地で仕事をしてそれが終わると会社に戻った、そして蘭世は家に帰ると夫の正雄大柄で四角い顔にいかめしい顔立ちで黒髪をスポーツ刈りにした警備員の彼に言われた。
「下着もそうだからな」
「白だと汚れ目立つわね」
「だから派手な柄のトランクスはな」
「あなたが穿いている」
「有り難い」
「そういうことね」
「ああ、白は光を反射してもな」
その分涼しいがというのだ。
「汚れが目立つからな」
「厄介よね」
「その分な」
二人で話した、見れば二人共色の付いたティ―シャツに半ズボンという格好だ。その恰好では二人は普通に醤油を手に取って使っていた。
醤油のシミ 完
2025・1・23
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