第63話
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の中にあるキャラハン教授に関するデータを見せた。
「こいつは――――――」
「…………キャラハン先生の手記。ここ数週間のものみたいです。」
データの内容を確認し始めたヴァンは真剣な表情を浮かべ、カトルはデータの内容を読み始めた。
『4月某日―――――探し求めたスポンサーがようやく見つかった。導力ネットでの数回のやり取りの後、”アンカーヴィル商会”の営業が訪ねてきた。そして睨んでいた通り――――彼はあの”A"の”関連企業”であることをあっけなく明かした。
彼らは莫大な資金と引き換えに”ある条件下での実験”も提案してきた。いくつかあるその”条件”を実現すれば―――実験のスピードを飛躍的に高め、不可能と思われた理論構築を現実のものにできるという。迷った末に私は”条件の一部”を受け入れた――――――何としてもあのクロンカイトに勝つために。
前提となる”最低限の条件”―――――都市全体を利用しての”並列分散処理”により、ついに全ての準備が整おうとしている。だが、まだ最後の”壁”が残っている。この”壁”はまったくもって容易ではない。それこそ”最後の条件”を受け入れなくては――――――…………最後まで迷うことになりそうだが、いずれにせよ、必ずや成し遂げてみせよう。空想と思われていた未来の兵器――――――”反応兵器”を、この手で生み出すために。』
「………………………………」
「カトル君…………」
キャラハン教授の手記を読み終えて肩を落として目を伏せて黙って考え込んでいるカトルをアニエスは心配そうな表情で見つめた。
「ハン…………当たりだったみてぇだな。」
「眼鏡の先生から聞いちゃいたが…………同じことを改めて聞くが実際、どれだけ現実味があるものなんだ?」
「やはり可能性は限りなくゼロです。…………少なくとも現代の技術では。それこそなんらかのブレイクスルー…………革命的転換や技術的特異点が今一度、起きない限りは…………」
「…………仮にそれが起きたとしても仮説と実証の繰り返しが必要となる筈…………だからこそエプスタイン博士や三高弟でも届かなかったんでしょうから…………いいえ――――――届こうとするのを戒めた。」
ヴァンの確認に対してリゼットとカトルはそれぞれキャラハン教授の研究内容の実現は非常に厳しい事を答えた。
「で、でもさっきの手記には…………」
「…………ええ、あと一歩でそこに辿り着くような書き方でした。都市全体での並列分散処理…………それに”最後の条件”というのはわかりませんが。」
一方ある懸念を抱いたフェリにアニエスは真剣な表情で頷いて答えた。
「何十年かか
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