進化する野獣
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、フロストノヴァへそのまま命中、彼女の全身から白い力を一気に吸収していった。
「ぐあっ……!」
フロストノヴァは低い悲鳴を上げる。
一瞬体が浮かび上がり、地面に投げ出された彼女は、茫然とキマイラの幻影を見上げた。
半透明の獣は、一瞬フロストノヴァを見下ろし、喰らいつく。
同時に、白い爆発が彼女を包み込んだ。
「……っ!」
爆風が晴れ、その場には茫然と立ち尽くすフロストノヴァだけが取り残された。
「……私は、生きて……いるのか……?」
フロストノヴァは、力なく自らの手を見下ろす。そしてすぐさま、力が抜けたようにその場に倒れ込んだ。
「……」
「ああ、生きてるぜ。なんとか急所は外せてよかった」
ビーストはそう言いながら、フロストノヴァへ近づく。
倒れたままのウサギは、目だけを動かしビーストを視線に入れる。
「私のアーツを吸収したのか」
「ああ。やっぱり出来ると思ったぜ。あのまま続けば、お前の体もヤバそうだったしな」
「敵を助けるのか」
フロストノヴァは問う。
ビーストは銃口を下ろし、ビーストドライバーを閉じた。
すると、ビーストの魔力が閉ざされ、コウスケの姿に戻る。
「オレは戦いを止めたい派なんだよ。そりゃあ、イリスやバングレイみてえにどうしても対話できねえ奴は仕方ねえけどよ。お前はまだ話が分かる方だし。戦いを止めて欲しいんだ。加賀にもな」
「……フ」
その笑みは、どこか安らかなものにも見えた。
「……そうか……」
「ん? 何か言ったか?」
「エレーナ!」
「加賀さん、待って!」
その声に振り向けば、丁度凍った扉を開き、中から香子と祐太が続いて出てきていた。
二人は走ってフロストノヴァの元にやってくる。香子はフロストノヴァを助け起こそうとするが、フロストノヴァは手で香子の助けを制した。
「これ……多田君……」
「悪ぃ加賀。オレの勝ちだ」
コウスケはミラージュマグナムを肩に乗せる。
「戦略的にもお前はもう詰んでるぜ。令呪も残り一つで、戦えないマスター。強いサーヴァント一人で倒れた参加者なんざ、いくらでもいるからな」
「……」
コウスケは次に、祐太へ向き直る。
「祐太。お前だって、加賀に戦ってほしくはねえだろ」
「……ああ」
祐太は俯く。
やがて香子へ向き直り、頭を下げた。
「加賀さん、もういいんだ。もう、ひなのために……俺たちのために戦わなくて」
「祐太……」
「もし俺のためにこんな戦いに参加したなら、もう戦わなくていい! もう、香子が危険に飛び込む必要なんてないんだ……」
「でも……」
香子は戸惑いながら、フロストノヴァへ目を向ける。
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