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蒼き夢の果てに
第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第1話  え? 俺が使い魔ですか?
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も決めつけられませんか。俺は、彼女の魔法が何に分類されるかも知りませんから。
 俺の知らない魔法なら、呪文の一言一句に強い意味が籠められていて、呪文を唱えている術者の精神状態にはあまり左右されない魔法と言う物も存在している可能性も有りましたか。

 その瞬間。

「シノブくん、タバサ嬢の開いた両手を覗き込んでくれるかな」

 少し現実からトリップしていた俺を、こちら側に呼び戻すアガレスの声。その言葉に従い、あらぬ方向を向いて居た視線を正面に移す俺。
 其処には……。
 呪文を唱え終わったらしいタバサ嬢が、何故か俺の目の前……大体、俺の胸の高さぐらいの場所に両手の手の平を上向きにした形で差し出している。
 成るほど、この手の平を覗き込んだら良いんですね。

 一応、上向きにされた手の平を覗き込む俺。整えられた、そのタバサ嬢の指先がかなり儚い印象で、それが彼女により相応しいように思えて来る。

 しかし、この行為自体が良く判らない行為だとは思うのですが。これになんの意味が有るのでしょうかね。もしかすると、ここに契約用の羊皮紙が現れるとでも言うのでしょうか。

「そうしたら、そのまま、少し目を瞑る」

 やや……。いや、かなり疑問符に彩られていた俺に対して、アガレスが、更に儀式の次なる行動を指示して来ました。確かに魔術の儀式ですから、その行為自体に何らかの魔術的意味が有る可能性が高いのは判りますよ。それに、ここの魔法については門外漢の俺は指図に従うしかないですけど……。

 そう考えながらも、指示通り、両の瞳を閉じる俺。その俺の両の頬に、少し冷たい、そして柔らかいものがそっと触れた。
 これは、……手?
 そう言えば、先ほども同じように、俺の頬に彼女は手を添えようとしていたような気が……。

 刹那、甘い、余り嗅いだ事のない香りが鼻腔を擽り、俺のくちびるに、湿り気を帯びた何かとても柔らかい物が触れる。
 ……って、これは、間違いなしに、くちびるですよ!

 慌てて目を開けた俺の瞳に、瞳を閉じて、俺とくちびるを合わせたタバサ嬢の顔が映る。

 いや、慌てるな。落ち着け。確かに、このパターンの契約方法も有る。
 何処の魔法の系統かは判らないけど、くちづけに含まれる誓約と言う意味を魔的に利用しているのでしょう。

 ……と、言う事は、矢張り西洋系の魔法と言う事になるのかな。

 いや、今回に関しても、そうとばかりも言えないか。

 何故ならば、俺もこの手の霊道を開く方法の契約方法しか、受肉した存在に対しては行う事が出来ないから。いや、俺の場合は、間に触媒となる物を必要としているか。
 例えば、俺の血液とかが。

 それに、確かに最初は驚いたけど、判って仕舞えば何と言う事はない。たかがくちづけぐ
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