暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
圏内事件〜幽霊の正体編〜
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.わからない! 本当だ!!」
シュミットは裏返った声で喚いた。
「メモには......メモにはただ、リーダーの後を付けろと......や、宿屋にチェックインして、食事のために外に出たら、部屋に忍び込んで回廊結晶の位置セーブをして、そ、それをギルド共通ストレージに入れろとだけ書いてあって......お、オレがしたのはそれだけなんだ! オレはグリセルダに指一本触れてない! ま、まさか......指輪を盗むだけじゃなくて、こ、こ、殺しちまうなんて......オレも、オレも思ってなかったんだ!」
必死の弁解をまくし立てる間、二人の死神は身じろぎもしなかった。
通り過ぎる夜風が枯れ木の梢とローブの裾を揺らした。
限界まで恐怖を募らせながらも、シュミットは脳裏に刹那の回想を瞬かせていた。
メモを見た瞬間、無茶だ、と呆れた。しかし同時に巧い手だと驚きもした。
宿屋の個室はシステム的にロックされるが、寝るとき以外はフレンド/ギルドメンバー開錠可設定にするのが普通だ。
それを利用して回廊結晶のポータル位置を部屋の中に設定し、部屋の主が熟睡している時を狙って侵入する。あとはトレードを申し込み、相手の腕を勝手に動かして受諾させ、指輪を選択して交換ボタンを押す。
とてつもなくリスキーだが、しかし圏内でアイテムを奪うほとんど唯一の方法だとシュミットは直感した。
メモの末尾に提示された報酬は、指輪の売却益の半額。
成功すれば手に入る金額が一気に四倍になり、もし失敗――つまりトレード中にリーダーが起きてしまっても、顔を見られるのはメモの差出人ひとりだけだ。
そいつが後から何を言おうと、知らぬ存ぜぬで通せばいい。宿屋に忍び込みポータルをセーブするだけなら、証拠は何も残らない。
シュミットは迷ったが、迷うことがすでにギルドとリーダーを裏切っているに等しかった。
すべては一足飛びに攻略組にのし上がるため、そこでゲームクリアに貢献すれば結果としてリーダーを助けることにもなるのだと行為を正当化し、シュミットはメモに指示されていた通りのことをした。
翌日の夜、シュミットはリーダーが殺されたことを知った。
さらにその翌日、約束どおりの額の金貨が詰まった革袋が自室のベッドに置かれてるのを見つけた。
「オレは......こ、怖かったんだ! もしあのメモのことを暴露したら、今度はオレが狙われると思って......だ、だから、本当にオレは知らないんだ、あれを書いたのが誰なのか! ゆ、赦してくれグリセルダ、グリムロック。オレは、ほ、本当に殺しの手伝いをする気なんかなかった。信じてくれ、頼む............!」
甲高い悲鳴混じりの声を絞り出し、シュミットは何度も額を地面にこすり付けた。
一しき
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