暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
圏内事件〜幽霊の正体編〜
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歯をかちかちと鳴らしたあと、ありったけの意志を振り絞って口を開いた。
思いのほかはっきりとした声が迸った。
「すまない......悪かった......赦してくれ、グリセルダ! オレは......オレは、まさかあんなことになるなんて思ってなかった......あんたが殺されちまうなんて、これっぽっちも予想してなかったんだ!!」
『ほんとうに......?』
声がした。奇妙なエコーのかかった、地の底から響いてくるような女の声。
すうっと意識が遠ざかりかけるのを必死に堪え、シュミットは恐る恐る視線を上向けた。
捩れた樹の陰から、音も無く黒衣の影が現れた。漆黒のフーデッドローブ。だらんと垂れた袖。闇夜の底で、フードの奥はまるで見とおせない。
しかし、そこから放射される冷たい視線をシュミットははっきりと意識した。
悲鳴を迸らせそうになる口を両手で押さえ、シュミットは何度も頷いた。
「ほ......ほんとうだ。オレは何も聞かされてなかった。ただ......ただオレは、言われるがままに、ちょっとした......ほんのちょっとしたことを......」
『なにをしたの......? あなたは私に、なにをしたの、シュミット......?』
するするする、とローブの右袖から伸びる黒い細線を、シュミットは見開いた両眼で捉えた。
剣だ。しかし恐ろしく細い。使う者のほとんど居ない、《エストック》という片手用の近距離貫通武器。まさに針と言うよりない円断面の極細の刀身には、螺旋を描くように逆棘がびっしりと生えている。
ひぃぃっ、と喉の奥から細い悲鳴を漏らし、シュミットは何度も何度も額を地面に押し付けた。
「お......オレは! オレはただ......指輪の売却が決まった日、いつの間にかポケットにメモと結晶が入ってて......そこに、指示が............」
『誰のだ、シュミット?』
今度は男の声だった。
『誰からの指示だ......?』
硬く首筋を強張らせ、シュミットは凍りついた。
鋼にでもなってしまったかのような首を軋ませながらどうにか持ち上げ、視線を上向ける。
ちょうど樹の陰から、二人目の死神が姿を現すところだった。まったく同じ黒のフーデッドローブ。身長は一人目より僅かに高い。
「............グリムロック......?」
ほとんど音にならない声でシュミットは呻いた。
「あんたも......あんたも死んでたのか............?」
死神はその問いには答えず、替わりに無音の一歩を踏み出した。フードの下から、陰々と歪んだ声が流れる。
『誰だ......お前を動かしたのは誰なんだ......?』
「わ.....
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