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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
圏内事件〜幽霊の正体編〜
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強さ、いや硬さを求めてより上位のギルドに移るために犯した、たった一つの罪を告白し、心から懺悔すれば、たとえ相手が本物の幽霊だとしても赦してくれるはずだ。乗せられただけなのだから。口車に乗せられ、魔が差して、つい些細な犯罪行為――いや、それ以前の単なるノーマナー行為を犯してしまっただけなのだから。まさか、結果があのような悲劇に結びつくなどとは考えもせずに。
シュミットはふらりと立ち上がると、ウインドウを開き、転移結晶を一つオブジェクト化させた。
力の入らない右手で握り締め、大きく一度深呼吸してから、掠れた声で呟いた。
「転移......ラーベルグ」
視界が青い光に覆われ、薄れると、そこはもう夜のただ中だった。
時刻は二十二時を回り、しかも辺鄙な既攻略層とあって、転移門広場にプレイヤーの姿はまったく無かった。周囲のNPC家屋もきっちりと鎧戸を閉め、商店の営業も終わっているので、まるで圏内ではなくフィールドに出てしまったかのような錯覚に襲われる。
半年前まで《黄金林檎》はこの村のはずれに小さなギルドホームを構えていたので見慣れた光景のはずなのだが、シュミットにはまるで村全体が自分を拒んでいるかのように思えた。
分厚い鎧の下で体をぶるぶる震わせ、崩れそうになる両脚を無理やり動かして、シュミットは村の外へと向かった。
目指したのは、主街区を出て二十分ほども歩いたところにある、小さな丘の上だった。
当然ながら《圏外》であり、もはやアンチクリミナルコードは適用されない。
しかしシュミットにはどうしてもここに来なければならない理由があった。あの黒衣の死神に見逃してもらうためには、もうこれしか思いつかなかった。
脚を引きずるようにして丘の天辺まで登ったシュミットは、頂上に生える捻じくれた低木の枝の下にあるものを少し遠くから見詰め、激しく体をわななかせた。
風化し、苔むした石の墓標。ギルド《黄金林檎》リーダー、今は亡き女性剣士グリセルダの墓だ。
どこからともなく降り注ぐ朧な月明かりが、十字形の影を乾いた地面に刻んでいる。時折吹き抜ける夜風が、枯れ木の枝をぎぎ、ぎぎと鳴らす。
元々は、樹も墓碑もただの地形オブジェクトだった。デザイナーが何の意図もなく設置した風景的装飾だ。
しかし、グリセルダが殺されてから数日後、黄金林檎が解散したその日に、残った七人のプレイヤーでここを彼女の墓にしようと決めて遺品の長剣を埋めた――正確には墓石の根元に放置し、耐久値が減少して消滅するに任せたのだ。
だから墓標に碑銘は無い。しかし、グリセルダに謝罪するためには、もうこの場所しか思いつかない。
シュミットはがくりと跪き、這いずるようにして墓石に近づいた。
砂利混じりの地面に額をこすりつけ、何度か
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