第一話 恐怖の居合ホームランその十二
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「それを見たくなった」
「だからなんだ」
「大谷選手にな」
「阪神に来てもらう」
「そしてその大活躍でじゃ」
祖母はさらに言った。
「阪神を日本一にしてもらうのじゃ」
「だからなんだ」
「わしも動くぞ」
決意、それが老婆の声にあった。
「阪神の為にな」
「そうしましょう」
四谷は老女の手を両手に取って感涙して言った。
「私も同じ考えです」
「そうであるな」
「阪神が日本一になってくれれば」
泣きつつ言うのだった。
「これ以上素晴らしいことはありません」
「阪神は最高のチームです」
三鷹も真顔で言う。
「その阪神が日本一になれば」
「世の中違うな」
「はい、それだけで」
ゆかりにさらに話した。
「世界は晴れやかになります」
「そうじゃ、ではじゃ」
「大谷選手に阪神に来てもらいましょう」
「そうだね、しかし問題はどうして来てもらうかだね」
一ノ瀬のおばさんは宴会の用意をしつつ言った。
「そのことだね」
「試合に勝てば来てもらえるんじゃないか?」
賢太郎が何でもない調子で言ってきた。
「勝てば来てもらうって言ってな」
「そうしてかい」
「ああ、挑戦状でも送ってな」
こう母に言うのだった。
「そうしてだよ」
「そうね」
いぶきは賢太郎のその提案を受けて言った。
「じゃあ大谷選手の所属チームに送ってみましょう」
「そうしような、じゃあ俺達でな」
「チームを組んでね」
「大谷選手と戦おうな」
「そうしましょう」
「正直勝てる見込みはないよ」
朱美は冷静に述べた。
「そんなのわかるだろ」
「ああ、はっきりとな」
賢太郎も否定しなかった。
「あそこまでの人にな」
「あの人バケモノだからね」
「どうしても勝てる相手じゃねえよな」
「大谷選手以外にも選手いるしね」
朱美は野球が団体競技であることも話した。
「だからね」
「俺達がチーム組んで試合しても」
「はっきり言って勝てないよ」
「そうだよな」
「あたし達素人だしね」
それにというのだ。
「大谷選手はバケモノだからね」
「投打二刀流でな」
「そんな人と戦ってもね」
そうしてもというのだ。
「やっぱりね」
「勝てねえよな」
「けれどやってみる価値はあるよ」
朱美はこうも言った。
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