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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#15
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」
無意識に呟いた自分の言葉で、ビゲラブナは、はっとする。
そうだ────こんなこと許されるわけがない。
「わ、私を処刑するなどと────あの方たちが不在のうちに勝手に決めて」
許されるわけがない────と続けようとしたビゲラブナを遮って、シュロム=アン・ロウェルダがまたもや世間話をするように告げた。
「ああ、君が頼みにしている連中なら、とっくにこの皇都に到着しているよ」
「え────」
「君の裁判にも全員ちゃんと出席してくれたよ。誰一人として君を擁護する者はいなくてね。君の処刑は満場一致で可決されたから────もう覆ることはないよ」
ロウェルダ公爵の淡々とした声が否が応でも耳に届き、遅れてその内容をビゲラブナの脳が噛み砕く。
(あの方たちは、すでに皇都に到着していて────裁判は終わっている、と…?誰も────誰も…、反対することなく────私の処刑が、満場一致で決ま、った…?)
「そんな…、うそだ────私がいなくなったら、みんな困るはずだ…」
言われるがままに優遇して、融通を利かせてきた。その恩恵に与ることができなくなるというのに────ビゲラブナの処刑に誰も異を唱えなかったというのか。
「そもそも、なぜ────なぜ、私が裁判に呼ばれない…?おかしいだろう────自分の裁判なのに…、弁明する機会も与えられないなんて────」
ビゲラブナが震える声で疑問を漏らすと、臓腑が凍えそうなほど冷たく凍てついた声が返される。
「証言も物証もあって、その罪が明らかな場合、被疑者の弁明など意味がないと────よって、裁判に参加させる必要はないと…、以前、自分でそう宣ったではないか。だから────ソルドも裁判に参加させるつもりはないと」
その憎悪の籠った声の主は────ロウェルダ公爵ではなく、ビゲラブナの部下であったダズロ=アン・イルノラドだ。
ダズロ=アン・イルノラドのその蒼い双眸は、明らかにビゲラブナへの憎悪で濁っている。
“ソルド”とは、
彎月
(
わんげつ
)
騎士団の前団長ソルド=アン・ザフレムのことで────ベイラリオ侯爵家門の者を彎月騎士団の団長に据えるために、ビゲラブナがベイラリオ侯爵の取り巻きと共に冤罪を着せた男だ。
ソルドは弁の立つ男だったので、裁判の場で発言させると面倒なことになると危惧して────証言と物証があってほぼ罪が確定している被疑者の裁判を簡略化することを提案し、強引に押し通した。
それ以来────皇妃一派にとって都合の悪い裁判は、簡略化することが通例となっていた。
自分の裁判が、同じように簡略化されたのだと気づき────ビゲラブナの血の気が引いた。
「わ、私は奴らとは違う!私には───私には…、裁判に
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