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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#14
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だビゲラブナを引き摺って進んでいった。


 塔の入り口を護る兵士二人がビゲラブナたちを認め、装飾らしいものは一切ない重そうな扉を二人がかりで開く。

 扉を潜らされ、階段を強引に昇らされる。

 階段は螺旋状で回り込むようになっている上に一段一段の厚みがあって、贅肉を纏う身では両足を上げる作業が辛く、すぐに息が切れ始めた。

 “獄舎”は、上階に行けば行くほど、牢屋となる部屋が広く豪華になる。今回のように貴人を収容することもあるからだ。

 逆に最下層である地下には、身分を持たない囚人を入れる、石壁と鉄格子に囲まれた便器代わりの汚い壷しかない狭い牢屋が並んでいる。

 他人のペースで階段を上るのは体力を消耗させられ、息切れが激しいビゲラブナは、悪態をつこうにも声も出せない。

 しばらく黙々と足を動かし、騎士たちに連れられて幾つ目かの踊り場からフロアに出たときには、これ以上階段を上らなくていいことにほっとしてしまった。

 切れていた息も落ち着き始め、こんな目に遭わせられたことへの怒りが沸々と湧いてくる。


 そのフロアに設えられた牢屋は二つしかなく、ビゲラブナは奥にある牢屋へと連れて行かれた。先導していた騎士が開錠して扉を開け、両腕を掴んでいる騎士たちがビゲラブナを乱暴に中に押し遣った。

 よろけて前のめりになったビゲラブナが振り向くと、扉は締め切られたところだった。すぐに、鍵をかけられる音が聞こえる。

「クソッ、出せっ、出せ…っ!!」

 ビゲラブナは扉に飛びつき、拳を叩きつけて喚く。

 繊細な模様が彫り込まれて装飾はされているものの、ビゲラブナのような非力な者では開けられない重厚な扉だ。響く音は大きいが、ビクともしない。

(クソ、クソ、底辺皇子を殺そうとしたから何だと言うんだ!!)

 それだけで、この自分が牢に入れられるなど納得できない────ビゲラブナは歯が砕けそうなほど噛み締め、拳を打ち付ける。

 そもそも、何処にそんな証拠があるのか。

(そうだ、証拠なんかあるわけがない…!)

 ビゲラブナが暗殺を命じたのは、先代ベイラリオ侯爵が組織ごと取り込んだ暗殺者────“闇兵”だ。

 底辺皇子の使用人風情が返り討ちにできるはずがないし、万が一捕らえられそうになったときは自決するよう仕込まれている。自決できなかったとしても、拷問に屈することはない。

 だから────証言を得られるはずもない。

 大体、まだ数時間しか経っていないのだ。しっかり調べたとは思えない。

 大方、帰還したルガレドが邸の惨状を発見して、昨日の会議で確執ができたビゲラブナを容疑者として挙げただけの話だろう。そう考えると、一層怒りが募った。

「私は防衛大臣だぞ!!騎士
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