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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#14
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※※※


「あの底辺皇子が魔物の殲滅に成功しただと…!?」

 緊急時だというのに皇城に詰めることなく、いつも通り自分の邸に帰り───翌日、一国の要職を担う者としてはかなり遅く出仕したビゲラブナ伯爵は、執務室に着いて早々、届けられた情報の報告を始めた補佐官に、声を荒げて訊き返した。

「昨日の今日だぞ!!何かの間違いではないのか!?」

 東門に程近いヴァムの森にいつの間にか築かれていたという────魔物の集落。それが発覚してまだ2日しか経っていない。昨日の午後、緊急会議が開かれたばかりだ。

「いえ、それが────昨夜、魔物に動きがあったとかで、協力を申し出た貴族家と冒険者とで討伐をした、と…」

「武具や防具はどうした!?補給管理課にはちゃんと通達したんだろうな!?」
「は、はい。ルガレド皇子の要請には応じないよう、通達しました。ですが、その…、ルガレド皇子が管理課を通さずに直接、保管庫から持ち出させたみたいで────」
「何だと!?何故、そんな無理を通した!?」
「いえ…、ルガレド皇子は皇王陛下より指揮権を与えられておりますし────それに、今回の件は“緊急事態”と認められておりますから…」
「だから何だ!!」
「ですから、“緊急措置”として、管理課の裁可がなくとも物資の補給や軍資金を受領することが可能なんです…!」

 長年、防衛大臣をやっているくせに何故こんなことも知らないんだ────と内心毒づいて、補佐官は答える。

 確かに、現皇王陛下の御代において、“緊急事態”の宣言がなされたことも“緊急措置”が行使されたこともないから、若い武官の中には知らない者がいてもおかしくはないが────防衛大臣という立場であるビゲラブナ伯爵にとっては、把握しておかなければならない制度のはずだ。

 そもそも、今回の件が“緊急事態”にまで発展したのは、ビゲラブナ伯爵に原因の一端がある。ビゲラブナ伯爵が、規定通りに騎士団を一つでもこの皇都に待機させていれば、ここまで大事にはならなかったのだ。

「それなら、何故、保管庫の方にも通達しておかなかったんだ!!」
「……申し訳ありません」

 それについては自分にも落ち度はあるので、補佐官は不満に思いながらも謝罪する。

 今回の件が“緊急事態”だと判断されたことは知っていたものの────ろくに教育を受けていないルガレド皇子が“緊急措置”のことなど知るわけないと高を括っていた。だから、補給管理課に通達しておけば十分だと思ってしまった。

 まあ、ルガレド皇子は、皇宮の会議室を出た足で保管庫に赴いたらしいので────通達したところで、おそらく間に合わなかっただろう。

「クソっ、これでは底辺皇子の手柄になってしまうではないか…!!」

 今回、ベイラ
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