第99話 リィンとエマ、再会せし暗殺者と歌姫
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がっていた。つまりこの山はこの特異点のほんの一部でしかなかったという訳だ。
「流石にこんな広い所を徒歩で移動してたら体力が持たないぞ……」
俺はそう言って溜息を吐いた。こうしてる間にもフィー達に何か起こるかもしれないしさっさと脱出したいのだがこれはかなり骨が折れそうだな。
「リィンさん、ここはこれを使いましょう」
エマはそう言うと何か板のようなモノを取り出した。
「エマ、それは?」
「これは『グリンブルボート』という人を乗せて移動できる魔法具です。これを使って一気に駆け下りてしまいましょう」
「魔道具?」
「魔女が使う便利なアイテムだと思ってください」
俺はエマからグリンブルボートという魔道具を受け取る。
「どうやって使うんだ?」
「地面に置いて両足を乗せれば自動で固定されます」
「こうかな……うおっ!?」
ボートに両足を乗せるとカチャッと音がしてまるで金具で固定されたように足が吸い付いた。そしてボートが浮かび上がり宙に浮かぶ。
「わわっ……一体どんな原理なんだ?」
「このボートは『マナ』という自然の力を使って浮いているんです。この世界には精霊が存在していて私達は彼らから力を借りることが出来るんですよ」
「そんな力があるのか、全く知らなかったな」
「精霊信仰が盛んだったころはもっと人々に認知された言葉だったのですが、今では導力技術が発達した影響で使われなくなった言葉なんです」
「なるほどな」
俺は精霊やマナという言葉に聞き覚えが無く首を傾げる、エマが言うには精霊信仰という文化があったようだが今では無くなってしまったみたいだ。
まあ今の時代に精霊を信じる人間はほとんどいないだろうな、エマが言ったように導力革命以降それに頼り切りだし信仰自体も七輝教会の方が圧倒的に多いし。
「でもリィンさんもよく体勢を保てていますね、乗りこなすのは結構難しいのですが……」
「昔団の皆とやった『スノーボード』に似てるからかな?なんか乗れたよ」
「スノーボード?」
「雪山で行われているスポーツでこんな感じのボードに乗って雪山を滑り降りるんだ」
「そんなスポーツがあるんですね、リィンさんは博識ですね」
「エマほどじゃないけどね」
俺は昔スノーボードをやった経験があるからグリンブルボートに乗れたんだと思った。
懐かしいな、ゼノに馬鹿にされてムキになってスノーボードを練習して何度も転んだんだよな。ゼノは団長に雪だるまにされてたしフィーと一緒に雪兎を作って遊んだっけ……
「よし、そろそろ行こうか。エマのボードは?」
「それがその一つしかないんです。しかも私は乗りこなせなくて……だからリィンさんに運ん
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