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渦巻く滄海 紅き空 【下】
九十二 VS木ノ葉
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かと思わせるほどの闇が一斉に、木ノ葉の忍びの視界を埋めたかと思うと、次の瞬間には、その場にはもはや蝙蝠一匹残ってやしなかった。



















夜が、晴れる。

現実へと引き戻されたかのような青空の下、蜘蛛の巣の如く張り巡らされた鎖だけが鈍い光を放っている。


その鎖の中心。
獲物がいたであろう蜘蛛の巣は空白で、鎖が銀色に鈍い光を放つのみ。
まるで白昼夢を見ていたかのような錯覚に襲われる。



しかしながら獲物がいた証が其処には確かにあった。









鎖をつたう、赤。
確かに獲物がいたであろう証拠は、銀色の中で一際、異彩を放っている。





青空の下、沈黙が満ちるその場で。
鈍く光る銀に映える血が一筋。
















音もなく、滴下した。

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