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渦巻く滄海 紅き空 【下】
九十二 VS木ノ葉
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引っ張った。

すると、いのの怪力で割れた地面の地中から、武器に結わえられていたソレが露わになる。
透明なそれはチョウジとキバも握っており、更には周囲の木々の幹に突き刺さったクナイにも結わえられている。


鎖だ。
光の加減で見えにくいよう細工されている。

いのの怪力で割れた地面の影を利用し、シカマルが秘かに地中へ影を操って仕込み、テンテンの武器のひとつひとつに結び付けていたのだ。
ナルトの影を捉えようとしているふりをして、その実、テンテンから渡された鎖を秘かに、いのの怪力で割れた地中へ秘かに忍ばせ、更には気を失っているふりをチョウジやキバにさせ、彼らにも鎖の先を持たせた。


そして合図とともに引っ張る。
すると────。

「ほお?」


そこで初めて、感心めいた声をナルトがあげた。




地中から露わになった鎖。
それらがいつの間にか、ナルトの両手首、両足首にジャラララ…、と巻き付いている。

鎖の先は周囲の木々の幹に深く突き刺さるクナイや、力を持つチョウジやキバ、赤丸、そしていのが引っ張っており、まるで巨大な蜘蛛の巣だ。

空中に描かれた蜘蛛の巣の中心に囚われたナルトを前に、ようやっと構えていた印をシカマルは解いた。
ずっと最初からナルトを捕縛する為の布石を打ち、影に繊細な動きをさせ、ようやっとこうしてナルトを身動きできぬ状態にまで追い込んだ。


どれほど実力差があろうと、見えない壁があろうと、どうしようもない隔たりがあろうと。
その差を頭脳で埋め尽くし、壁をぶち破り、隔たりを近道で強引に届かせる。


そうやってなんとか鎖の蜘蛛の巣に閉じ込めたナルトを見上げる。
チャクラを使い過ぎて、これ以上の戦闘は無理だが、それでもシカマルはしっかり、とナルトの眼を真っすぐに力強く見据えた。


いつも太陽のように眩しく、青空の如く澄み渡る瞳の青を曇らせる波風ナルの代わりに。
そうして彼は、静かに。




「────これで、王手だな」









幕引きの宣言を冷静に告げた。



















「────いいや?」





























「チェックメイトにはまだ早い」





























幕は上がってもいない。
そう、ナルトは笑った。


蜘蛛の巣の中心で。
鎖で両手足雁字搦めにされている状態で。

悠然と微笑んだナルトは、直後、鎖の尖った先に親指を勢いよく叩きつける。

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