暁 〜小説投稿サイト〜
渦巻く滄海 紅き空 【下】
九十二 VS木ノ葉
[6/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
弁が重なり合っているだけだ。
呼吸するようにひらひらと踊るように飛ぶことで、蝶に見えるだけである。


ナルトを遠巻きにして取り囲んでいた木ノ葉の忍び達は、そこでようやっと思い知った。


あまりにも遠い。
彼への道のりが。彼との強さの差が。
足りない。
どうしようもなく。彼がいる高みへ上り詰めるだけの力が。

届かない。
途方もないほどに。彼と我々の間にある乗り越えられない壁が。


隔たりを実感する。
埋められない差を知る。
眼に見えない壁を目の当たりにする。

確かにこれは援軍を呼んでも無意味だ。
あの、はたけカカシでさえ、木ノ葉の忍びが全員束になっても敵わない。
そう思わせるだけの力を目の前の存在は持っている。


孤高の存在。高みに坐する人物。
それに対抗できる英雄はこの場にはひとりしか、いない。


波風ナル。仙術を扱える彼女ならば、或いは…。

しかし、今の彼女は。



(……こう言ってはなんだが、使い物にはならない、な…)

視界の端に捉えたナルの様子を見ながら、ネジは眉間に皺を寄せる。
仕方のないことだとは理解できる。
何故ならば、彼女は今しがた、衝撃的な事実を告げられたばかりだ。


うずまきナルトの双子だ、と。
彼の実の妹だと。
そしてナルの命を、彼女に宿る九尾を狙ってきた『暁』のメンバーのひとり、だと。


つい先ほど、ナルト本人の口から伝えられたばかりだ。
怒涛の展開と真実を聞かされ、茫然自失になっている彼女を誰が責められようか。

ならばやはり、我々でどうにかするしかない。





────だが、どうやって?





リーの息をもつかせぬ体術にも。
高速の突きを繰り出す【八卦・六十四掌】にも。
左右からの凄まじい猛攻にも。
地面を割り足場を崩す怪力の威力にも。
数多の隙の無い刃の雨にも。
おぞましいほどの波打つ蟲の大群にも。


全てを悉く凌駕する相手に成すすべはない。
ネジの眼を以てしても、そう思わせる力がナルトにはあった。






なにが天才だ。なにが『日向家始まって以来の天才』だ。
天才を通り越し鬼才すら足元に及ばない。

自分はこんなに弱かったのか。
己の無力さを思い知る。
諦めてしまう。












けれど。




「────今だっ」


最初からずっと、諦めていない者がいた。















シカマルの号令で、気絶するふりをしていたキバと赤丸、チョウジが手に巻いた何かを引っ張る。
同時にテンテンもまた、地面に突き刺さった武器を手繰り寄せるように
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ