九十二 VS木ノ葉
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弁が重なり合っているだけだ。
呼吸するようにひらひらと踊るように飛ぶことで、蝶に見えるだけである。
ナルトを遠巻きにして取り囲んでいた木ノ葉の忍び達は、そこでようやっと思い知った。
あまりにも遠い。
彼への道のりが。彼との強さの差が。
足りない。
どうしようもなく。彼がいる高みへ上り詰めるだけの力が。
届かない。
途方もないほどに。彼と我々の間にある乗り越えられない壁が。
隔たりを実感する。
埋められない差を知る。
眼に見えない壁を目の当たりにする。
確かにこれは援軍を呼んでも無意味だ。
あの、はたけカカシでさえ、木ノ葉の忍びが全員束になっても敵わない。
そう思わせるだけの力を目の前の存在は持っている。
孤高の存在。高みに坐する人物。
それに対抗できる英雄はこの場にはひとりしか、いない。
波風ナル。仙術を扱える彼女ならば、或いは…。
しかし、今の彼女は。
(……こう言ってはなんだが、使い物にはならない、な…)
視界の端に捉えたナルの様子を見ながら、ネジは眉間に皺を寄せる。
仕方のないことだとは理解できる。
何故ならば、彼女は今しがた、衝撃的な事実を告げられたばかりだ。
うずまきナルトの双子だ、と。
彼の実の妹だと。
そしてナルの命を、彼女に宿る九尾を狙ってきた『暁』のメンバーのひとり、だと。
つい先ほど、ナルト本人の口から伝えられたばかりだ。
怒涛の展開と真実を聞かされ、茫然自失になっている彼女を誰が責められようか。
ならばやはり、我々でどうにかするしかない。
────だが、どうやって?
リーの息をもつかせぬ体術にも。
高速の突きを繰り出す【八卦・六十四掌】にも。
左右からの凄まじい猛攻にも。
地面を割り足場を崩す怪力の威力にも。
数多の隙の無い刃の雨にも。
おぞましいほどの波打つ蟲の大群にも。
全てを悉く凌駕する相手に成すすべはない。
ネジの眼を以てしても、そう思わせる力がナルトにはあった。
なにが天才だ。なにが『日向家始まって以来の天才』だ。
天才を通り越し鬼才すら足元に及ばない。
自分はこんなに弱かったのか。
己の無力さを思い知る。
諦めてしまう。
けれど。
「────今だっ」
最初からずっと、諦めていない者がいた。
シカマルの号令で、気絶するふりをしていたキバと赤丸、チョウジが手に巻いた何かを引っ張る。
同時にテンテンもまた、地面に突き刺さった武器を手繰り寄せるように
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