Side Story
少女怪盗と仮面の神父 55
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れば人工呼吸と思われます! 誰に聴いたかは教えてくれそうもない気がするのでこの際置いときますが、大いなる誤解で勝手な妄想を過剰に膨らませないでいただけませんかね?? 神父様とそんな関係になる予定は未来永劫ありませんから??」
ここでもか。聖職の本山に来てまでも、結局は恋愛話なのか。
(もう確信した! 恋愛脳は女性みんなで一蓮托生だ! 間違いない!)
自分とそっくりな顔が、目と鼻の先で嬉々として恋愛を語るとか。
お願いだから勘弁してほしい。
このやり取りだけで、一気に三十年分くらい老けた気がする。
「そうなの?」
「そうなんです??」
精神的に疲れ果てたミートリッテを見て、プリシラが首を傾げる。
「そう……やっぱり、ダメなのね」
「?」
独身の女性に、知り合いの男性との縁結びを推奨する、お節介なオバサマそのものの勢いで身を乗り出していたプリシラは。またしても急にご令嬢の空気を纏って居住まいを正し、苦笑いを浮かべた。
「あの子、極度の 人間恐怖症 だから。幼馴染みとそっくりな顔で性格が真逆な貴女になら、心を開いてくれるかも知れないって、期待してたのよ」
「……………………………………………………?」
おかしい。
なんか、言葉の途中で、変な雑音が混じったような……
「あーあ。今年も『年齢そのまま恋人不在歴』を更新ですか〜。残念だわ。アーレストってば、本当におちょくり甲斐がない子ねえ。まったく、もう。いつになったら人間に馴れてくれるのかしら?」
「雑音じゃなかった! 神父様が人間恐怖症?? アレで?? ドコが??」
『ふてぶてしい大臣』と称えるべき態度の数々を思い出し。
ありえない音の並びを全力で否定するミートリッテ。
が、プリシラは目線を落とし、悲しげに眉を寄せた。
「あの子、人前では、いつでも笑っていたでしょう? 女性の前では特に」
「? はい、まあ。一部例外はありましたけど、大体は笑顔でしたが……」
「それが、あの子を護っている『仮面』の一つよ」
持っていた茶器をローテーブルの上に置いたプリシラが。
バルコニーと部屋の境にある、大きなガラス窓の傍らへ移動する。
「貴女、この音にどれだけ耐えられる?」
形良い爪先の実体と影が、透明な板の表面で重なり……
きゅ……っ っきききぃいいいいい────っ
「ふ……っ、ぎゃああぁぁあっ??」
と、室内の空気を無残に引き裂いた。
咄嗟に両耳を塞ぐも。
全身を震撼させる不快な音が耳奥に貼り付いて、なかなか消えない。
「……私達には聴こえていないけど、アーレストが生まれた時からずっと、彼を視界に入れた人間の大半、主に女
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