Side Story
少女怪盗と仮面の神父 55
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で思わず立ち上がる自分を見上げ、藍色の目が緩いアーチを描いた。
「ど、どうして私の夢……っ、両親の、名前を」
ミートリッテが村で心臓を止めて倒れた際、バッグから飛び出した義賊の道具類なら騎士達に気付かれたが、燭台の構成図を描き連ねた簡易本は誰も見分しなかったと聞いたし、結局誰にも話さなかったから、ミートリッテが本気で装飾技師を目指してたことは、自分以外の何者も知り得ない筈だ。
それに、両親は互いを『ミリー』、『ノイ』と愛称で呼び合っていた。
二人の本名など、唯一の実子ですら、はっきりとは覚えてなかったのに。
「友達が教えてくれたのよ」
「友達?」
長年隣国で暮らしていたミートリッテの家庭事情を知り、次期大司教とも繋がりを持ち、秘めていた夢や心まで読めてしまう人間が、別にいるのか?
と、首をひねりかけ
「お座りなさい。ここは、誰がどうしてを解く場所ではない。将来に対する貴女の覚悟を問う席よ」
再度プリシラの手に着席を促される。
戸惑いながらも、黙って従うミートリッテ。
向かい合った年齢違いの同じ顔が、満足そうに頷いた。
「貴女は、私の補佐兼後継者として中央教会に来た。故に私は後継者である貴女を犬猫のように可愛がったりしない。苦しい時や辛い時、寂しい時も、私は貴女を庇わないし助けない。すべて自分で考え、自分で対処しなさい」
「……っ!」
一切の甘えを許さないと切り捨てるプリシラに、一瞬息が止まる。
元義賊に与えられた罰という意識を除いても、重責を担う者になる以上、そういった覚悟はあって然るべきだと解ってはいたが……
改めて突きつけられると、少々胸が痛む。
「……はい」
動揺が滲む返事だ。不様にも震えてる。
かといって、今更退く気は微塵もないが。
「……良い目ね。強い意志を持つ生きた目だわ。貴女を選んで正解だった」
「え?」
こちらをじっと観察していたプリシラが、自身の分の紅茶を一口飲み。
ふう……と息を吐いて
「アーレストとは、どこまで進んだの?」
「…………は?」
唐突に話の腰を折った。
「だあーからぁ〜〜。アーレストよ、アーレスト! 話は細部まできっちり届いてるんですからね! 抱き合って、口付けを交わしてたんでしょう? まさか、まだ一線は越えてないとか、トロいことは言わないでしょうね??」
「は……っ、はいぃいいっ??」
(突然何を言い出すの、この女性! 誰が、誰と、なんだって??)
「全身をずぶ濡れにして、それは情熱的に身を寄せ合ってたそうじゃない。隠したって無駄よ!」
「はあっ?? いやそれは多分、崖下の河に落とされた時の救助活動です! 口付けされた覚えはありませんが、あるとす
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