Side Story
少女怪盗と仮面の神父 54
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の限界を自らで証明しているのですから、当然の評価ですよね。
有力者は時として、下位者の器を上位者の器同然と見定めるもの。
「貴女につまらないという札が付けられてしまえば、縁を結んだ殿下方にも同じ札が貼られるのです。その点をよく考えて」
「特に、お前がこれから行く場所で待ち構えてるヤツは、遠慮も容赦もなく人を選ぶ。冗談でもへりくだった態度を見せる相手は大喜びで踏み潰すし、隙を見せればお遊び感覚で取って喰う、悪魔よりも悪魔な本物の悪魔だ。ま、何事も適度に適切に、柔軟に生きろ」
中央教会に悪魔? なんで?
と、目蓋を小刻みに開閉していると
「また、彼女をそのように……。噂ほど酷い御仁ではないと思うのですが」
セーウル王子も不思議そうに声を返した。
(彼女?)
「お前は、あいつにとって護るべき対象だから被害に遭わなかったんだよ。弄る対象に選ばれなくて良かったな、マジで。」
ミートリッテは十中八九ソッチ方面だ。ご愁傷様。
って呟きが、物凄く不穏なのだが。
ソッチ方面て何?
いったい、誰の話をしてるのか。
脳内で疑問符を乱舞させているミートリッテの耳に、そっと手を添え。
ハウィスが小声で、こっそり囁く。
「貴女は、セーウル殿下にとっては親しい御学友みたいな立ち位置だから。王都に着くまでの間だけでも、いつも通りに接して差し上げて?」
本来は不敬とされる行いを、保護者役の三人から推奨されてしまった。
(そりゃあ三人とセーウル王子は昔からの知り合いと身内で、今回の件でも協力者の立場だったから、そういう気兼ねはほとんど要らないだろうけど)
しかし、ミートリッテは紛う方なき底辺上がりの新参者だ。
幼馴染の付き合いがあると言っても、自警団員と一村人の枠は出てない。
王子とアリア信徒ではどこまでが許容範囲なのか、全然掴めてないのに。
こういうのって、初めのうちだからこそ、はっきりさせておくべきでは?
(なんだかなあ……)
「んー……分かった。一般民の前以外では、いつも通りね」
「そうしてくれ」
釈然としないものを感じつつも、ミートリッテが了承の意を示せば。
エルーラン王子に頭をポンポン叩かれながら満足気に頷くセーウル王子。
(あんたはどこのお子様だ! 周りの冷めた目に気付きなさいよ、ったく)
「んじゃ、出発だ。二人共さっさと乗れ!」
「痛……ってっ! ……ほら」
背中を打たれてよろめいた弟が、なんとか姿勢を正し、手を差し出す。
並び立つ兄弟を改めて見ると、二人の容姿は華がない辺りがそっくりだ。
ずっと身近に居たから、本当は王子だったんですなんて言われてもピン
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