Side Story
少女怪盗と仮面の神父 53
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、神父様、お父様」
村の中央階段上部で頭頂部に拳骨を一つ貰い、挨拶を交わした後。
アーレストは教会へ、エルーラン王子はハウィスの家へ、ミートリッテは中央広場へ、それぞれ向かう。
急いで戻らないと、女性達の怒声を浴びてしまいそうだ。
なにせ、約四百人分の料理と果汁飲料と酒。
準備するのが大変なら、片付けるのは大苦行。
人手が足りてないのは明白だった。
主賓の扱いにしては雑な気もするが。
ミートリッテがネアウィック村で過ごす、最後の夜だ。
全身の筋肉痛や倦怠感には目を瞑ろう。
「あー! ミートリッテ、やっと戻ってきた! おそーいっ!」
「ごっめーん! 何を手伝えば良い??」
「こっちよ、こっち! ……はい、ここに立って!」
「へ? あれ? ちょっと、手伝いは?」
「良いから良いから。はい、海岸にちゅーもーくっ!」
「か、海岸?」
大勢の声が重なり合い騒がしい中を縫うように走り抜け、にこやかな女性三人に背後を固められながら、中央広場の真ん中辺りに立たされる。
と
「「「みんな、いくよ!」」」
ひゅるるるる……
「「「せーのっ」」」
「「「おかえり、ミートリッテー??」」」
ドオオォ────ン??
「…………………………っ??」
女性三人の声を合図に、それまで思い思いの会話に興じていた村の人達が声を揃えて叫んだ。
同時に、色鮮やかな火の花が夜空で咲き誇る。
開き切った花弁がパラパラと落ちる最中にも。
次から次へと、別の花が開いていく。
「な、なな、な……っ」
「ふっふっふー。驚きで言葉も出ないようね、ミートリッテ!」
「あなたがアルフィンの為に頑張ってたって聴いたからね。私達もあなたが眠ってる間に頑張ってみたのよ。職人代とか火薬代とか輸送費用とか諸々、かな〜りお高かったんだから! 心行くまで堪能してよね!」
「お疲れ様、ミートリッテ!」
「「「おつかれーっ????」」」
花火なんて高価な代物、通常は王都か街くらいでしか見かけない。
まして、海に囲まれているこのネアウィック。
湿気が天敵な火薬とは相性が悪すぎる。
それだけ、扱いもとんでもなく難しくなるというのに。
「こ、こんなっ! こんな、めっちゃくちゃ贅沢なコトしてっ……!」
「贅沢よぅ? だから、こぉんな贅沢品を贈られたあなたには、それ相応の義務が生じます」
「義務?? やだ、なんか怖い!」
「「「失礼ね!」」」
「ふぎゃ??」
女性達がふるふる震える体を取り囲み、一斉に抱きついてきた。
「どこに居ても、元気でいること」
「どこへ行っても、あなたはあなたでいること」
「どこで何をしていても、|故郷《
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ